杉原祐之第二句集『十一月の橋』 ― 2022/07/11 07:00
杉原祐之さんから、第二句集『十一月の橋』(ふらんす堂)を頂戴しながら、なかなか感想を書けずにいた。 一つには、俳人・岸本尚毅さんの「栞」の文章、「現場の感じをつかむ」があまりに見事で、私など付け加えるところはないように思ってしまったことがあった。
杉原祐之さんには、第一句集『先つぽへ』(ふらんす堂)を頂いて、杉原祐之句集『先つぽへ』を読む<小人閑居日記 2010. 6.11.>を書いた。 「1979年生れというから、30歳を過ぎたばかりでの第一句集の上梓、仄聞するところでは、近くご結婚、鬼子母神にも参詣したという。 三重のお慶びの中にあるわけで、まことにお目出度い。」と書いている。 第二句集『十一月の橋』では、その2010年から2020年4月1日までの凡そ10年間から331句が収録されている。 この間に、「結婚し家庭を持ち、二女一男に恵まれるとともに、急な父との別れもあった。」「一年間のカナダ・トロントへの留学は大きな経験で、働きながら二歳に満たない長女を日本で見てくれた妻には感謝しかない。」「仕事上では営業を経験しつつ、管理職に就くことが出来た。」と、「あとがき」にある。
母となる人の横顔あたたかし
柚子ひとつ浮かべてみたるベビーバス
祭壇の父へのバレンタインチョコ
残業の妻の分までおでん買ふ
風鈴を異国の家に吊しみる
西行忌グレイハウンドバスごつし
妻に子がくつついて寝る野分かな
妻の分子の分秋刀魚焼き上がる
第二子も小春日和に賜りぬ
家を買ふ羽目になりたる師走かな
二日目の嬰にもバレンタインチョコ
母の日の父のパスタの大雑把
私は祐之さんのユーモアの感覚が好きだ。
岸釣の人にも握手町議選
明らかに人手不足の神輿来る
追焚のボタンが喋る冬至かな
づかづかと政治家来たる踊の輪
人日のにやりとローン担当者
そういえば私も昔、丸の内に勤めていたことがあった。
丸の内に潮(うしお)の香り夜の秋
辞める奴辞めさうな奴牡蠣を吸ふ
後輩のデートに出会ふ四月馬鹿
また一人辞める後輩冴返る
隣席にメモを残して事務納
杉原祐之さんには、第一句集『先つぽへ』(ふらんす堂)を頂いて、杉原祐之句集『先つぽへ』を読む<小人閑居日記 2010. 6.11.>を書いた。 「1979年生れというから、30歳を過ぎたばかりでの第一句集の上梓、仄聞するところでは、近くご結婚、鬼子母神にも参詣したという。 三重のお慶びの中にあるわけで、まことにお目出度い。」と書いている。 第二句集『十一月の橋』では、その2010年から2020年4月1日までの凡そ10年間から331句が収録されている。 この間に、「結婚し家庭を持ち、二女一男に恵まれるとともに、急な父との別れもあった。」「一年間のカナダ・トロントへの留学は大きな経験で、働きながら二歳に満たない長女を日本で見てくれた妻には感謝しかない。」「仕事上では営業を経験しつつ、管理職に就くことが出来た。」と、「あとがき」にある。
母となる人の横顔あたたかし
柚子ひとつ浮かべてみたるベビーバス
祭壇の父へのバレンタインチョコ
残業の妻の分までおでん買ふ
風鈴を異国の家に吊しみる
西行忌グレイハウンドバスごつし
妻に子がくつついて寝る野分かな
妻の分子の分秋刀魚焼き上がる
第二子も小春日和に賜りぬ
家を買ふ羽目になりたる師走かな
二日目の嬰にもバレンタインチョコ
母の日の父のパスタの大雑把
私は祐之さんのユーモアの感覚が好きだ。
岸釣の人にも握手町議選
明らかに人手不足の神輿来る
追焚のボタンが喋る冬至かな
づかづかと政治家来たる踊の輪
人日のにやりとローン担当者
そういえば私も昔、丸の内に勤めていたことがあった。
丸の内に潮(うしお)の香り夜の秋
辞める奴辞めさうな奴牡蠣を吸ふ
後輩のデートに出会ふ四月馬鹿
また一人辞める後輩冴返る
隣席にメモを残して事務納
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