千年的喫茶空間にて ― 2006/08/23 07:40
20日の日曜日、ちょうど15回引き分けとなった早実と駒苫の決勝戦が行わ れている頃、ゼミ時代の仲間4人で、異空間、異次元の世界に遊んでいた。 そ の内の一人が知っている、土曜と日曜だけ開いている台湾烏龍茶の茶館に案内 してくれたのだ。 白金台の駅から近年はプラチナ通りと呼ぶらしい外苑西通 りに出て、自然教育園側の一本裏道に、その「千年茶館」はあった。 敷石の 間の飛び木を踏んで門をくぐると池のある小庭がある。 橋を渡ると、正面に 「茶神」という仏様、その前をぐるっと廻り込んで茶館の入口となる。 中国 の古い木造の建物を移築したのだろうか、家具調度を含め、少し暗めの落ち着 いた空間が現出する。 一階には茶壷が並び、木製の螺旋階段を上がると、天 井の高い二階の喫茶室の、風水でみて一番良いという場所に予約の卓が用意さ れていた。
夏のお茶白毫烏龍が出揃った時期だそうだ。 逸品ぞろいのようだが、わか らないので、お任せで「東方美人(とうほうびじん)」と「梨山(なしやま)」とい うのを選んでもらう。 「梨山」は発酵度が低い冬(?)のお茶で、日本茶に近い 感じがする。 茶こぼしになっている台の上に、小ぶりの急須と湯ざまし様の 器がのっている。 別にお湯の入った土瓶がたえず温められている。 各自に は、お猪口のような茶杯と、筒型の聞香杯(もんこうはい)という香りを楽しむ 茶器。 「工夫式」という淹れ方をする。 急須と湯ざまし様の器に土瓶の湯 を注ぎこぼして温める。 急須に茶を入れ、湯を注ぎ、一煎目は洗う感じでこ ぼす。 二煎目からは、急須を湯ざまし様の器にひっくり返す形で、お茶を淹 れる。 その器から各自、聞香杯に受けて香りを楽しみ、茶杯に移して飲む。 十煎ぐらいは出るという。 二種類を交互に楽しみながら、悠然と会話を交わ すわけだ。 しんとした上質のお茶の香りと味が心に沁みてきて、非日常のゆ ったりとした時間が流れる。 会話はおのずから「清談」となるのであった。
案内してくれた友人の知人であるオーナーが現れ、今年の品評会で入賞した という「文山包種茶」をふるまってくれた。 商売を度外視した丸ごと趣味の ような空間を実現しているこの方は、IT企業の経営者なのだそうだ。 さもあ りなんであった。
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