さん喬の「ちきり伊勢屋」(下)の(下)2007/02/06 07:02

 幇間の善平にもらった着物を質屋に持って行く。 最初に出てきた番頭に、 身なりと着物をくらべて、金は貸せないと断られ、実は自分も質屋だったと言 っているところに、「ご無礼を、どうぞお上がりください」と主が出てきた。  命を助けていただいた白木屋源右衛門のゆかりの者だという。 「お達者でな により」と、お鶴も出てくる。 伝次郎はここで初めて、床に着いても旦那様 の命は私が守ると言い暮らしていた源右衛門が、2月15日に死んだことを知る。  白木屋は妹が婿を取って継ぎ、お鶴はここ伏見屋に身を寄せていた。 そして 一代限りのつもりだった伏見屋の跡を、伝次郎とお鶴が一緒になって継ぎ、や がて麹町五丁目の元の所にちきり伊勢屋の大暖簾をかかげることになる。 め でたし、めでたし。  長講のさん喬もくたぶれただろうが、長々とブログに書いた閑居小人もくた ぶれて、それを終わりまで読んだ方々も、みんなくたぶれた。

国立小劇場はちきり伊勢屋のあった麹町のそば、帰りは永田町駅の平河町口 から南北線に乗って、報徳寺のあった目黒を通り、奥沢まで帰って来る。 途 中、麻布一の橋や赤羽橋に近い麻布十番も通る。 札の辻だって、すぐそばだ。  「ちきり伊勢屋」に、ゆかりの場所ばかりではないか。 帰りの電車の中で、 江戸所払いになった白井左近が、札の辻や高輪大木戸(泉岳寺を下りた所)の 内側の、赤羽橋にいてもよかったのだろうか、と考えてしまった。