日本では年に何人自殺するか ― 2007/10/06 07:55
21年前に「スタチスチク」と題して、福沢諭吉が文明論の方法に、当時、ヨ ーロッパでも最新の学問だった統計学の手法を使うことを説いていたことを書 いた(1986.5.15.「等々力短信」第391号)。 ある国の文明のレベルを判定す る時、その国全体に「行はるゝ気風」、すなわち「国中一般に分賦せる智徳の全 量」を見なければならないと、福沢は言った(『文明論之概略』)。 実際の方法 としては、空間的にできるだけ広く、時間的にできるだけ長く範囲をとって、 大量観察をやる。 すると、特殊な事情が消されて、ある一般的法則性が浮び 上がってくる、と説く。 福沢は、この統計学の手法を、バックルの『イギリ ス文明史』から学んだ。 「一国の人心を一体と為(な)して之を見れば、其の 働きに定則あること実に驚くに堪へたり」といい、一例として犯罪と自殺統計 をあげた。 そもそも自殺は、他人が命令したり、勧めたり、おどかしたりし て、自殺させるという性質のものではない。 全く、本人の自発的行為だ。 そ れが、1846年から50年までの間、ロンドンの自殺者数は、多い年で266人、 少ない年で213人であり、平均240人を「定まりの数」にしていると。
その時、その話を紹介した後で私は、福沢がここで日本の統計を使って議論 を補強したかったであろうが、残念ながらデータがなかった、その無念を晴ら すとして、つぎの統計数字をあげた。
昭和50年 53年 54年 55年 56年 資料
自殺死亡者数 19975 20199 20833 20542 20096 厚生省「人口動態統計」
自殺死亡率 18.0 17.6 18.0 17.7 17.1 同上(人口10万対)
当時年間2万人だった日本の自殺者は、「産業カウンセラーの仕事―職場か らうつ(うつ病)と自殺を無くそう―」のUさんによれば、なんと、ここ9年 連続で3万人を超えている、というのである。
コメント
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_ あなたのサプリ・健康データベースサイト - 2007/10/07 22:42
私も「うつ病の原因と言われるストレス」についての情報を書きました。情報交換になれば幸いですf(*^_^*)
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