「林檎」と「肌寒」の句会 ― 2007/10/13 08:15
11日は渋谷夏潮会の句会だった。 兼題は「林檎」「肌寒」、ようやく秋らし くなったとはいえ、今年はまだ「肌寒」の実感は薄く、なかなか句にならない。 つぎの七句を出句。
インドてふ不思議な林檎ありしかど
台風の逸れるを祈る林檎園
酸っぱいと言はれても買ふ紅玉を
到来の信州林檎蜜香る
肌寒のジャーナリスト葬長い列
郵便の一通も来ず肌寒し
爆笑の鈴本を出て肌寒し
「インドてふ」を英主宰と三枝子さん、「郵便の」を主宰が採ってくれた。 今 回、枇杷の会の啓司さんが初めて参加されたのは、嬉しいことだった。 しか も「台風の」と「爆笑の」を採ってくれたから、鳴かず飛ばずの先月より一票 だけ得点が多くなって、五票という「やや寒」の結果になった。 啓司さんは 志木高の後輩だが、カンニングの事実は、ない。
主宰は、清崎敏郎先生の「作者名は前がきだよ」という言葉を引いて、最近 は、句のできた日付もまた、前がきであると考えている、という。 つまり、 誰がつくったかによって、一句が立つように、句のできた時代によっても、句 が句として成り立つことがある、というのだ。 「インドてふ不思議な林檎あ りしかど」の句は、平成19年作の句であって、昭和25年の句ではない。 さ らに「郵便の一通も来ず肌寒し」を、そういう日がある、ちょっとさびしいよ うな、ちょっとほっとしたような、人生にある濃い日、薄い日、そうした人生 のひとこまを詠んでいる、と評してくださった。 10月の渋谷夏潮会は、以て、 瞑すべし。
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