「石榴」の雑学2008/10/21 07:10

 「障子貼る」と「石榴」の句会で、私は「石榴」の季題研究の当番だった。  それを言おうと思っていて、言い忘れたのだが、小松川の工場に石榴の木があ った。 ボーッと眺めていることが多かったので、石榴の木が四季を通じて楽 しめることを知っていた。 春、芽吹きの色が美しい。 日を透かしたその色 に感じて、何度か逆光の写真を試みたのだが、目で見るほどにはいかなかった。  その後の、緑の葉の茂りもよく、初夏、鮮紅色の花を咲かせる。 「紅一点」 という言葉は、この花が、他の樹木が緑ばかりの中で目立つため、中国の詩人 王安石が「万緑叢中紅一点」と詠んだのに由来するという。 秋、大きな球形 の果実が生る。 これが当句会の季題である(「石榴の花」は夏の季題)。 果 皮は黄紅色で黒斑があり、熟すると裂けて多数の果肉(仮種皮)の粒を露出し、 果肉の一粒ずつの中心に種子がある。 甘酸っぱい果肉は生食し、また果実酒 を作る。 黄色く色ずく葉が、素晴しく、落葉もいい。 掃くのが大変だが…。  冬、裸木になった姿が、また鑑賞に堪える。

 ペルシア・インド原産で、栽培の歴史はきわめて古いのだそうだ。 季題研 究はもっぱら雑学の方向になった。 ○石榴石…透明で深紅色の美しい宝石は ガーネット、一月の誕生石だそうだ。 東洋英和のリボンの色は、ガーネット と聞いている。 高校生の頃、東洋英和に弱いことをガーネット・コンプレッ クスと言っていた。 ○石榴口…江戸時代の銭湯の湯ぶねの入口。 サウナの ような蒸し風呂と、身体にかける上り湯の組み合わせだったようだ。 湯の冷 めるのを防ぐために、湯ぶねの前部を板戸で深くおおったのが石榴口。 身体 を屈(かが)めて中に入る。 ザクロの実の酢は鏡の金属面を磨く材料にした ことから、「屈み入る」と「鏡要る」(「鏡鋳る」=鏡を磨くこと・説もある)と をかけた名といわれる。 ○人肉の味に似ているという伝説…お釈迦様が、子 供を食う鬼人「訶梨帝母(かりていも)」に石榴の実を与え、人肉を食べないよ うに約束させた。 以後、訶梨帝母は鬼子母神として子育ての神になった。 入 谷の鬼子母神は「鬼」のツノ(上の点)を取った字を使っている。