アニメ映画『鬼退治したくない桃太郎』2011/10/13 04:26

 桃太郎のことを書いていたら、10月7日の朝日新聞朝刊の生活(34)面に、「桃 太郎、鬼と仲直り」「紛争解決法を紹介 人形アニメ製作中」「第三者交え対話 争 いの原因探る」という記事が出て(隅田佳孝記者)、ニヤリとした。

 映像ディレクターの高部優子さん(43)は、戦争被害や戦後和解を主題に映画 を撮ってきたが、戦争を起こさない方法を問われて、答えられない自分に気づ き、2008年から2年間、大学院で紛争を暴力によらず解決する理論を学んだと いう。 そして「暮らしのなかのもめ事や争いを当たり前ととらえたうえで、 習得可能な解決法を伝えることが大切だ」と考えるようになった。 在学中に 仲間たちとシナリオを練り上げたアニメ『鬼退治したくない桃太郎』DVDの製 作を始めた。 ウェブデザイナーや映像クリエーターなど、20~30代の約10 人が製作にあたり、手作りの人形を動かしながら、撮影している。

 物語は、鬼になぜ畑を荒らすのかを尋ねようと、桃太郎が鬼が島に向かうが、 出会った子鬼から逆に、人間が石を投げつけてくる理由を問われる。 黍団子 から突然「先生」が現れ、両者とともに和解を導く。

 ハワイには、当事者だけでなく家族、友人らが集い、長老を中心に対話を重 ねる伝統的な紛争解決法【ホーポノポノ】(ポリネシア語で「曲がったものをま っすぐに直す」)というものがあるのだそうだ。 黍団子の「先生」は、【ホー ポノポノ】の長老役を果たす。 対立を深化させないコミュニケーション術【私 メッセージ】や、元オスロ国際平和研究所長が提唱した【トランセンド(超越) 理論】に基づく解決の導き方も盛り込むという。

 【ホーポノポノ】…当事者それぞれの立場から見て何が起きたのか、第三者 を交えて照らし合わせる。→それぞれが意図的にした行為に目を向け、なぜ対 立が起きたのかを探る。→できたはずなのにしなかった責任を分かちあう。→ どのような将来を作りたいのか話し合う。→紛争の終結を宣言する。

【私メッセージ】…主語を「私」にして自分の気持ちを素直に表現する。「○ ○してもらえると助かる」「○○されるととても悲しい」など。→「どうして○ ○なの」という「あなた」主語の話し方(あなたメッセージ)を控える。→提案 と傾聴を意識する。

【トランセンド(超越)理論】…当事者双方の間で妥協点を見い出すのではな く、第三者の仲介・調停によって新たな解決法を求めようとする考え方。

11月『鬼退治したくない桃太郎』が完成したら、ホワイトハウス、G20、国 連総会などで上映して、紛争を暴力によらず解決することを、世界中の当事者 たちに学んでもらいたいものだ。