「アイスクリーム」と「登山」の句会2012/07/18 02:37

 12日は「夏潮」渋谷句会だった。 並木橋のリフレッシュ氷川、いつもの和 室でなく以前使っていた2階の会議室が会場である。 兼題は「アイスクリー ム(氷菓)」と「登山」、私はつぎの七句を出した。

やうやくに出た展望台氷菓売

まづこれと氷菓供され息をつく

立田野の小倉アイスの銀座かな

そのかみの経木の味のアイスかな

河川敷ゲームセットに氷菓売

山登る人は少なし河童橋

神の座に畏れつ挑む登山隊

 私が選句したのは、つぎの七句。

  退院後

氷菓舐め此処にこうして居る事も         ひろし

たあいなき賭けに勝ちたる氷菓かな        梓渕

舌触りアイスクリームに片木(へぎ)の匙     和子

アイスクリーム上司の月旦昼下り         耕一

一昨年の人とまた会ふ登山小屋          英

ふりかえるたのしみもまた登山かな        淳子

吹き荒ぶ消灯早し登山宿             松子

 私の結果は、〈立田野の小倉アイスの銀座かな〉を英主宰・耕一さん・さえさ ん、〈そのかみの経木の味のアイスかな〉を英主宰・耕一さん・ななさん・華さ ん、〈河川敷ゲームセットに氷菓売〉をさえさん、〈神の座に畏れつ挑む登山隊〉 を華さん・淳子さんが採ってくれた。 主宰選2句、互選8票、計10票、ま ずまずの成績だった。

 主宰は選評で、句会は映画を二十本観たようで、他人の句を見るのが楽しい、 と。 俳句の面白さの一つは、ちょっと時代遅れの感じに、詩が出るところに ある。 二十年、三十年、五十年、ズレル感じ。 〈石鹸を塗る新品の登山靴   和子〉、昔のがちがちの登山靴はそうしたものだった。 私の〈立田野の小倉ア イスの銀座かな〉、うまいのは「の」の重ね方、立田野のそれがポピュラーであ った時代、そしてノスタルジーになった今を詠んでいる。 〈そのかみの経木 の味のアイスかな〉、そうだったな、舐めていると、木臭いのがあった。

 私は「経木」としたが、和子さんの〈舌触りアイスクリームに片木(へぎ) の匙〉で、「片木」を知った。 「経木」は、『広辞苑』に「杉・桧(ひのき) などの木材を紙のように薄く削ったもの。これに経文を写したからこの名があ る。菓子などを包んだり菓子折に敷いたりする。また、経木真田(さなだ)の 材料。鉋掛(かんなかけ)。」 「へぎ」は【折ぎ・剥ぎ】(2)「へぎいた」の 略。→「へぎいた」【折板・剥板】「杉または桧の材を薄く剥いだ板。」 「経木」 では薄過ぎ、「へぎ」では厚過ぎる感じがする。 「折(おり)」「折箱」という と、大き過ぎるし…。 昔、汽車に乗った時に食べたあのアイスクリームの木 の箱は(マッチ箱よりも清潔な素材だった?)、何と呼べばいいのだろう。