一朝の「芝居の喧嘩」前半 ― 2012/07/31 01:45
「名前が一朝だから、一朝懸命にやります」と言って、拍手をもらったが、 私は拍手しなかった。 真打、真(心・芯)を打つ、トリを取る、という。 大 先輩の師匠は、誰とは言えないけれど、仮に円歌師匠としておく、最後に高座 の明りにしていた百目蝋燭の芯を切る、芯を打つからだと言っていた。 本当 かどうかはわからない。 師匠の先代柳朝は、嘘だな、と言っていた。 二人 はそちらの方では双璧といわれていて、柳朝師匠は可愛らしい嘘をつく。 水 の上に立っている師匠が、沈まない。 よく見ると、円歌師匠の肩の上に乗っ ていた。
寄席の上がりは、席亭と真打が全部取った。 真打の取ったのを、頭数で割 るから、給金を割りという。 足りない時は、真打が身銭を切る。 昔は人情 噺で撥ねたもので、人情噺が出来ないと噺家ではない、真打でない。 名人で ない者は、興味を持たせて明日につなぐ。 落し噺をする。 下げは15種あ るといわれている。 一番高級なのがトントン落ち、まぬけ落ち、地口落ち…。 最近の寄席、落ちが言えない、時間がない。 1時間に7人出て、1人が……、 6人だと1人10分だけれど、1人10分ない。 落ちを言う時間がない、冗談 言っちゃあいけねえ、で下りるのを「冗談落ち」。 講釈には「切れ場」がある。 一つの話に、40~50日かかる。 お終いを盛り上げ、釈台を叩いて「長兵衛、 藤兵衛、血の雨を降らす! 続きは、また明日」、とやる。 だが翌日になると、 血を見なかったりする。 そして、今の講談界がある(と、言って、冗談です が、と腰を浮かす)。
歌舞伎、大向うから声が掛かる。 花道の揚幕の音で、判断する。 先代の 勘三郎に、「タヤッ」、周りの客「エッ?」、「…じゃない」、爆笑になった。 声 の掛からない人がいて、仮に大和屋さん、付き人が三階に上がって声を掛ける。 黒御簾から、エテ梯子を上がって、座席に出、三階まで行くのだが、付き人も 70歳だから大変、着いた時にはハーッ、ハーッ、ハーッとなっている。 声が 掛からない、帰って来ない、しばらくして「パプー、ハプー」と、救急車の音。 70歳のおじいさんが、三階から落ちた、と伝わる。
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