平凡な一日一日が大切な一日2014/10/03 06:43

 『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』を観て映画館を出る時、『素 晴らしき哉、人生!』を観て映画館を出た時のような、高揚した気持になった かというと、そうではなかった。 しかし、年を取ったせいだろう、リチャー ド・カーティス監督が伝えたかったものは、しっかりと受け取ることが出来た。 

柴門ふみさんが、それを的確に語っていた(9月19日朝日新聞夕刊)。 「家 族と過ごす日常こそが大切なこと、と同時に小さな日々の幸せの積み重ねが、 最高の人生につながることなのだと感じました。家族を愛し、普通の日々を積 み重ねていくことが人生なんでしょうね。」と。

 リチャード・カーティス監督は、「物語のテーマは家族。恋をして、結婚して 子供が生まれ、家族を築いていくことの素晴らしさを語っている。作品を見て くれた人たちには、何気ないことがかけがいのないものに変わることを感じて ほしい。」と言う。  なにげない平凡な一日一日が大切な一日に変わり、当り前のように身近にい た、そして今身近にいる人たちに感謝をして、また大好きになる。 つまずい て、転んで、今の自分がある。 今日という日を精一杯生きる、それが人生を 素敵にする、というメッセージだ。

 私などは、ティムの父親の存在と生き方に魅力を感じた。 50歳でリタイア して、いつも書斎でディケンズの小説なんぞを読んでいたり、息子と海岸を散 歩したり、下手なピンポンに一生懸命になる。

 TOHOシネマズ六本木ヒルズを出たわれわれ夫婦は、テレビ朝日の玄関の方 に降り、麻布十番の商店街に出て、家内の友人に教えてもらった魚屋さんがや っている飯屋「魚可津」に入った。 生秋刀魚の塩焼と鰈の煮付、定食千円と 刺身付千五百円を頼む。 秋刀魚の塩焼には、二十分かかるというが、時間な ら十分にある。 美味しい魚を食べて大満足の、ささやかな幸せの昼下がり、 愛おしい時間であった。

 今日10月3日は、わが家の結婚45周年の記念日、サファイア婚というそう だ。 『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』を観て、当時のあれこ れをちょっぴりと思い出したのであった。