「所変われば品変わる」、品の名も2014/10/12 07:16

 この日記に書こうと思ったことのメモに、「春の庭」というのがあったが、「春 の庭」って、何だっけと、考えてしまった。 柴崎友香さんの芥川賞受賞作『春 の庭』だった。 世田谷の緑道沿いの家の話だというので、読んでみる気にな って読んだのだった。 しかし、その題名「春の庭」を忘れるほどだから、あ まりピンとくるものがなかった。 ただ、そのために珍しく買った『文藝春秋』 9月号の、受賞者インタビュー「漱石の東京に憧れて」で、生まれも育ちも大 阪だという柴崎友香さんが、東京と大阪の違いについて話していることが、印 象に残った。 想像もしないことだった。

 東京に来て、食パンの薄いのに驚いたと言う。 関西だと近年は五枚切りが 主流なのだが、東京にはなくて、大阪にはない八枚切りも並んでいる。 八枚 切りは、一度に一枚だけ食べるのか、二枚食べるのか、謎だと言う。 地元の 友達に話したら、「わかった、薄いから漫画でトーストくわえたまま走ってるん や」と、言ったそうだ。

 フジテレビの朝の番組に、いろいろ調査するコーナーがあって、「ワイシャツ」 の呼び方を、やっていた。 関西ではワイシャツと言わず、「カッターシャツ」 と言うのだそうだ。 街を行く人々にインタビューして、呼び方を聞くと、み んな「カッターシャツ」と言う。 クリーニング屋さんの看板も皆、「カッター ○○○円」と書いてある。 そうなのか、ぜんぜん知らなかった。

 「カッターシャツ」という呼び名は聞いたことはあるが、どんなものかは考 えたこともなかった。 「ワイシャツ」は、ずっと「ワイシャツ」と呼んでき た。 明治になって、外人が「ホワイトシャツ」と言うのを聞いて、「ワイシャ ツ」になったそうだ。

 関西の「カッターシャツ」は、スポーツ用品の美津濃(現ミズノ)の創業者 水野利八が、大正7(1918)年に、スポーツ用シャツとして売り出した商品名 に由来するという。 「勝った」「勝った」をもじって、「カッターシャツ」と 名付けたらしい。 『広辞苑』には、「和製語。襟と袖口が縫いつけられた長袖 のシャツ。もとは運動着だが、今はワイシャツと区別なく用いる。」とある。

 それで「ワイシャツ」も『広辞苑』をみると、「(ホワイトシャツの転。「Yシ ャツ」は当て字)主に男性が背広の下に着るシャツの総称。普通、前あき・ボ タン留めで、襟、カフス付きの袖がつく。」

 ついでに『広辞苑』の「スポーツシャツ」は、「【sports shirt】運動用のシャ ツ。また、軽快な感じのシャツの総称。」