「運動会」と「秋思」の句会2014/10/14 06:36

 9日は渋谷句会だった。 台風と台風に挟まれたけれど、予報にあった雨も 降らない夜となった。 兼題は「運動会」と「秋思」。 「秋思(しゅうし)」 は「秋に感ずる物思い」、『徒然草』にも「もののあはれは秋こそまされ」とあ る。 私が出したのは、つぎの七句。

島中が出ても小さき運動会

足袋跣足流行りし頃の運動会

木造の校舎が見守る運動会

運動会転んで走る子に優し

こぼれ萩吹き寄せられて秋淋し

銀山で栄えし町の秋あはれ

注文が焼けて来る間の秋思かな

 私が選句したのは、つぎの七句。

シスターのスプーンレース早し早し  英

校長も借り物にされ運動会      荘吉

昼からは父の来てゐる運動会     なな

流れゆく雲に委ねし秋思かな     ひろし

川あれば川を見に行く秋思かな    裕子

横顔の睫毛の長き秋思かな      裕子

遠く近く秋思の夜の音を聴く     さえ

 私の結果は、<木造の校舎が見守る運動会>と<注文が焼けて来る間の秋思 かな>を主宰が、<足袋跣足流行りし頃の運動会>と<運動会転んで走る子に 優し>を淳子さんが採ってくれた。 主宰選2句、互選2票の、計4票、お二 人のお蔭で、辛うじて救われた感じだった。

 主宰の選評。 <木造の校舎が>…「校舎見下ろす」ではどうか、「見る」に 「守る」も入るから、検討の余地がある。 <注文が焼けて>…うまい句、焼 き物は何を注文したのか、お通しが出て、酒をちびちび飲んで待つ、仕事との 狭間、その境での秋思。

 英主宰は、兼題「運動会」で、私が選句した<シスターのスプーンレース早 し早し>を始め、敢えて「運動会」の入らない句をお出しになった、と言う。  「酉の市」の「熊手」のように、季題の中から新しい季題が生まれることがあ る。 大正から昭和にかけて、たくさん新季題が出来た。 今ある季題だけに 固執していると、息が詰まりそうになることがある。 冒険をして、新しい季 題でどんどんいい句をつくっていくと、季題として認定されるものが生まれる のではないか、というお話だった。