ジョークをひろめようとした福沢諭吉の失敗〔昔、書いた福沢29〕 ― 2019/03/09 07:11
広尾短信 58 1976(昭和51).10.5.
ジョークをひとつ、題は「記憶をよくする法」。 わしもだんだん年をとって 記憶の悪くなったのには困るよ/先生、それはすぐに直す方法があります/ど んな方法かね/私に五億円貸してごらんなさい。
「欧米を漫遊して帰国すると日本では一夕の宴に小噺を語る人が少ないこと に気がつく」とは加藤周一さんの感想だが、外人に「今、日本で流行っている ジョークを教えて下さい」といわれて喜劇一筋の飯沢匡さんでさえ狼狽すると いうのだから、欧米での社交術の重要部分をなすジョークが、日本でどれだけ 無視されてきたかがわかる。
飯沢さんの発見によると明治二十年代に早くもこの風潮に気付いた福沢諭吉 は、長男一太郎訳で『開口笑話』という英和対訳のジョーク集を出して啓蒙に 乗り出した。 それが失敗したのは今日ごらんの通り。 冒頭のは全集二十巻 所収の福沢諭吉訳のジョークをほんの少し現代風にアレンジしてみた。
(1976(昭和51)年は、2月にロッキード事件が発覚、7月27日事件当時 の首相だった田中角栄が逮捕された。)
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