「MOMATコレクション展」、「杉浦非水展」 ― 2019/04/08 07:17
東京国立近代美術館では、「所蔵作品展MOMATコレクション」と、「イメー ジコレクター・杉浦非水展」を見た(ともに5月26日まで)。 企画展「福沢 一郎展―このどうしようもない世界を笑いとばせ」は失礼したら、65歳以上は 無料だという。 有難く入館した。
「所蔵作品展MOMATコレクション」では、のっけから安田靫彦《黄瀬川陣》 と、原田直次郎《騎龍観音》に圧倒される。 つづいて、萬鉄五郎《太陽の麦 畑》、岸田劉生《道路と土手と塀(切通之写生)》、関根正二《三星(さんせい)》、 中村彜《エロシェンコ氏の像》、古賀春江《海》、安井曽太郎《金蓉》、松本竣介 《並木道》、和田三造《南風》と、そして荻原守衛《女》、高村光太郎《手》と、 教科書で見たことのあるような名高い絵や彫刻が並んでいて、大満足だ。 さ らにはセザンヌ《大きな花束》、マティス《ルネ、緑のハーモニー》、パウル・ クレー《花ひらく木をめぐる抽象》がある。
途中「眺めのよい部屋」というのがあり、通り抜けしてきたばかりの皇居や 周囲のビルの春らしい景色を眺める。 その後の展覧会では、名前も知らなか った織田一磨の連作リトグラフ《東京風景》(1916(大正5)年・1917年)、《画 集銀座》第一輯・第二輯(1929(昭和4)年)が興味深かった。 《東京風景》 では、目白坂下、柳橋之雨、駿河台、築地河岸、上野広小路、上野之桜、芝御 霊屋、《画集銀座》には、銀座千疋屋、銀座松屋より歌舞伎座(遠望)、シネマ 銀座、銀ブラがあったからだ。 この銀座千疋屋、銀座八丁目の店頭だろうか、 と思った。 織田一磨(1882(明治15)年~1956(昭和31)年)は、洋画を 川村清雄、石版画をオットマン・スモリック、金子政次郎に学んだ。 「自画 石版の織田一磨」として知られるというが、私は知らなかった。
「イメージコレクター・杉浦非水展」、おそらく三越や地下鉄のボスターはご 覧になったことがあるだろう、図案家の杉浦非水は日本のグラフィックデザイ ンの創成期に重要な役割を果たした。 私は、辛うじて、杉浦非水を知ってい た。 杉浦非水は、福沢桃介の義弟で、2011年11月12日、福澤諭吉協会の 史蹟見学会で、川越に福沢桃介生家岩崎家の岩崎昭九郎氏宅を訪ねて、杉浦非 水の作品を見せていただいたことがあったからである。
福沢桃介、わが国初の地下鉄を計画<小人閑居日記 2012. 11. 28.>
福沢桃介と杉浦非水・翆子夫妻<小人閑居日記 2012. 11. 29.>
東京国立近代美術館は、遺族から一括寄贈された杉浦非水のポスター、絵は がき、原画など700点以上を所蔵している。 この展覧会では、ポスターはも ちろん、数多く手がけた表紙デザイン、非水が手元に残した海外の雑誌やスク ラップブックなどを展示し、16ミリフィルムに残した川越の祭その他の映像も 公開している。
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