三遊亭ごはんつぶの「ぞろぞろ」2022/12/27 07:09

 12月23日は、第654回の落語研究会だった。

  「ぞろぞろ」     三遊亭 ごはんつぶ

  「お見立て」     春風亭 一之輔

  「穴どろ」      柳亭 市馬

         仲入

  「蛙茶番」      三遊亭 小遊三

  「お富与三郎 発端」  隅田川 馬石

三遊亭ごはんつぶ、三遊亭天どんの弟子、10月この会の前座、めくりをやっていた。 色白、長髪を七三に分け、覚えてもらいたいだけの名前、26歳だと言う。 スポーツをやっていた、サッカーワールドカップはドイツ戦、堂安が「俺しかいない、俺が決める」と言った。 寄席では、「俺が受けなきゃあ」というのは、いない。 暢気、芸人だから。 楽屋で師匠方の会話、「ドーアンて日本人か?」「どうなんでしょう」。 演者がのんびりやる。 肩肘張ってやると、こうなると、やって見せて、薄茶の羽織を脱ぐ、黒の着物。

観音様の裏手のお稲荷さん、近くに爺さん婆さんの茶店がある。 てえくつだなあ。 お稲荷さんにお参りに行ったらどうです、私は毎朝行っているけれど、ウチがあるのはお稲荷さんのおかげだから。 爺さん、橋のあたりで落ちていた幟(のぼり)を拾う、「正一位稲荷大明神」。 届けてやるか、婆さんが毎朝お世話になってます、とお賽銭も上げる。

いいことをしてきましたね、御利益がありますよ、わかりませんが…。 雨が、降り始めた。 御利益ですよ、お爺さんが帰って来てから、降り出した。 盆を返したような降りになった。 御利益ですよ、雨に濡れて風邪を引けば、明日あたり、あの世でした。 店を閉めようか。 上がらせてもらうよ。 客だよ。 お久し振りで。 茶を。 置いといてくれ、何かつまむものはないか。 駄菓子なら、ハッカノベシ(薄荷糖)。 丸いな。 二年前に仕入れた時は、三角だったんですが、人間みたいに角が取れた。 よそうか、カビ臭い。 雨、上がったよ。 草鞋(わらじ)をもらおうか。 一足だけあります、十八年前の売れ残り。 引っ張ると、抜けます。 八文、茶が六文。

御利益だ、塩漬けにしたのが売れた。 婆さんも、塩漬けにするか。 お爺さんが先ですよ。 草鞋、あるかい? 一足あったのが、ちょうど売れたところで。 そこにぶら下がってるのは、看板か? 引っ張って、頂いて。 八文です。 1-1=無し、のはずなんだが…。 草鞋をくれ。 ないんです、本当に売れちまったんで。 そこにぶら下がってるよ。 八文で。 婆さん、一緒に見よう。 草鞋を。 あるんでございます。 八文で。 引っ張ると、天井裏から、新しい草鞋が、ぞろぞろ。 見たか、婆さん? 私は、三鷹どころか、高尾です。

ぞろぞろと、草鞋が天井裏から下りて来るのが、評判になり、人だかりが出来、行列が浅草から春日シビックセンター前まで続いた。

茶店のそばの床屋、前、いつ客が来たかわからない、主が手前の髭を抜いている。 茶店とは、行ったり来たりする仲で、客のふりをしたりしていた。 御稲荷さん、聞きましたよ、お足もたんまり持って来ました。 親方、店を空けちゃあ駄目だよ、早くやってくれ。 後から、お客さんがぞろぞろ来るぞ、と涙を流す。 何、泣いてんだ、急ぐんだ、今日は髭だけ当たってくれ。 主が、剃刀を当てると、後から新しい髭が、ぞろぞろ、ぞろぞろ。

三遊亭ごはんつぶ、二ッ目成り立てにしては、堂々とした高座、これからが楽しみだ。