「和菓子」と伝統の力 ― 2006/12/12 08:17
「菓子組」で思い出したのだが、先月赤坂の虎屋ギャラリーでやっていた「和 菓子アート展」を、家内がどうしても見たいというので、最終日に見に行った。 5人のいろいろな分野のアーティストが、和菓子をテーマにした作品をつくっ ていた。 「さわって遊べる木の和菓子」の青柳豊和さん、西ノ内和紙を菓子 木型に押し付けて制作した「和菓紙」の永田哲也さん、極小のミニチュア菓子 を樹脂粘土でつくった福留千夏さん、ふだん透明樹脂の中に岩絵具を流し込む 「透過」をテーマにした作品を制作している亀井紀彦さんの虎屋の職人さんと のコラボレーション、そして名画の人物や女優に扮する森村泰昌さんの木型を 使った干菓子。 それぞれに面白かったり、可愛かったりはする。
長年、麹町「鶴屋八幡」(本店は大阪)の生菓子を、落語研究会の土産にして きた。 だから四季折々の季節感を盛り込んだ「和菓子」の、色と形の美しさ はよく承知していた。 そうした現物の「和菓子」にくらべると、今回のアー ト作品は、お気の毒だが、どれもが負けているのだった。 伝統の力というも のは、いたしかたのないところがある。
最近、麹町「鶴屋八幡」の斜め前に、京都のという某菓子店が、もっともら しい店を出した。 デパートの地下にも、自由が丘の町中にも、そうした意匠 ばかりに凝った新しい菓子屋が出ている。 しかし「虎屋」や「鶴屋八幡」の ような老舗の菓子と食べ比べると、浅薄で、あえていえばインチキくさいのが 素人にも分かる。 これもいたしかたのないところなのだろう。
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