「日本的経営」の考え方2006/12/15 07:12

 川口浩さんは、武藤山治を「日本的経営者」と見る、4つの要素をあげ、そ の組み合わせであるとした。

 (1)経験的・現実的に対応する思考法。 一定の原理原則を前提において、 それで発想するのではなく、目の前にあることを正確に認識して、発想する。  これは江戸時代人の考え方。 たとえば、人間は何をしても褒美を受けること を予期しているから、どんな仕事でも最高の働きをさせるためには褒美が絶対 に必要だ、という。

 (2)「家」をモデルにした人間観・社会観。 根源的な人間関係のあり方で ある「家族」は、調和のある統一体で、調整不能なものはなく、構成員はなす べきことをする。 「協同一致は自然の法則なり」。 その「家」のあり方が、 他の人間集団にも適用、応用できる。  その原則が、家→会社→国というよ うに同心円的に適用できる、と考える。 「鐘紡の経営法を家族制度に基く」 「鐘紡は大なる家庭である」

 (3)責任論・職分の意識。 それぞれの立場で、やるべきことをきちんと やる。 自分の役割を果す。 身分に応じた職分を果す。 その責任を尽くす ものは、はじめて人の道を尽くし得る。

 (4)「実利」を求める企業経営のあり方。 経営責任については、自分は「株 主」と「従業員」の間にはさまった「番頭(経営者)」であるとする。 改良・ 進歩の果実は、構成員全員に分け与えられていくもの。 株主には利益の配当 を、従業員の職を守り、幸福増進のためにいろいろな設備をし、至れり尽くせ りの待遇を計る。 社会に対しては、最良の品物を、最も安く供給することが、 社会の「実利」になる。