近くの美術館で「古今亭菊六独演会」2012/08/28 01:45

25日、ご近所の世田谷美術館分館「宮本三郎記念美術館」で、「古今亭菊 六独演会」があり聴きに行った。 古今亭菊六、9月下席から28人抜きで真打 に昇進、古今亭文菊を襲名する、その直前の記念独演会というわけである。 近 辺にお住まいのいろいろな専門家の話を聞く「人ひろば」というシリーズの Vol.17、それというのも古今亭菊六師匠、すぐそばの八幡小学校(やはたしょ うがっこう、やっしょう)八幡中学校(やっちゅう)から学習院に進んだとい う。 ご実家も、お住まいも近くで、司会者の女性に洗濯物を見られていた。 

前回の「人ひろば」で講演なさったパテ屋の林のり子さん(当日記2011. 10. 20.~23参照)がいらしたので、ちょっとご挨拶して、実は落語好きでとお 話した。 2階で開催中の展覧会『宮本三郎クロニクル 1922⇒1974 -最初期 作品から絶筆まで』を見て、会場に戻ると、林さんが声を掛けてくれないか、 とおっしゃる。 落語は長く聴きに行ってはいるが、声を掛けたことはない。

 いよいよ古今亭菊六師匠の登場、「待ってました、四丁目」と声を掛ける。  嵐のような拍手をありがとうございました、「待ってました、四丁目」という 掛け声は初めてだと言い、地元でやっているいくつかの落語会の話をする。

 この日演じたのは、「金明竹」と「天狗裁き」の二席。 真打昇進直前の脂 の乗り切った高揚感を内に秘めながらも、張り切りすぎず、力を入れるところ と抜くところのバランスに配慮して、メリハリの利いたよい高座だった。

 「金明竹」では、与太郎が酒粕を食べて酔っ払ったマクラから入って、前半 の親戚から預かっている小僧、甥っ子の与太郎ぶりをゆったりと演じた。 隣 町の讃岐屋が旦那の顔を借りに来たのを、「猫の断りよう」で「最近盛りがつ いて家に寄り付かない、どこかで海老の尻尾を食ってきて、家の中で粗相をし て困る、マタタビを食わして、寝かしてある」と断る。 驚いて、おじさんが 羽織を着て謝りに出かけた。 後半は「わて中橋の加賀屋佐吉方から参じまし た」と早口の上方弁でまくしたてる例の口上で盛り上げて行く。 おばさんが、 秀逸だった(女が上手いのかもしれない)。 「お家はん、でんな?」 「お 湯屋さんは、二三軒先」 口上を聞いて「ねぇーー、おっしゃる通りなんでご ざいますよ。今日も天気がよくて…。二、三、聞きそびれた所があります。あ と、もう一度」 「よろしか」 「急(せ)きますさかい、さいなら」