ニコライ堂・パノラマの撮影者 ― 2006/05/27 06:31
13日「W・K・バルトン生誕150年記念講演会」で、写真史家で東京都写真 美術館専門調査員の金子隆一氏が「小川一真」を「かずまさ」と言っていた。 今まで「かずま」と聞いて来たような気がしたので、手元の本を探していたら、 一つ疑問にぶつかった。 石黒敬章著『幕末・明治のおもしろ写真』(平凡社コ ロナ・ブックス)の106・107頁に、ニコライ堂の足場からの13枚のパノラマ 写真を、従来いわれているようにバルトンでなく写真師田中武が明治22年に 撮影したことを、玉井哲雄氏が明治22年1月22日の毎日新聞に「写真師田中 武氏に託し駿河台なるニコライ氏堂の上に三間四方の足場を晴朗の日を期して 東京全市を撮影するという」との記事を発見したことをその根拠に挙げて、書 いてあったのだ。
当日、基調講演の藤田賢二名誉教授、そして金子隆一氏、お二人ともに、こ のパノラマ写真をスライドで紹介された。 特に金子氏は海外(アメリカ?)での 日本の古い写真の展覧会でも展示して、最大のパノラマ写真と評価されたと話 していたところをみても、とるにたらないこととは思うのだが、この石黒敬章 説は、反証されたのだろうか。
稲場紀久雄教授夫人の日出子さんとメールのやりとりがあったので、お尋ね すると、「「かずまさ」が正しいようです。「いっしん」となっている本もありま すが。」 「かのパノラマ撮影に関しましては、バルトンではないという説と、やはりバ ルトン撮影としか考えられない(技術の高さ、ニコライ堂設計者のコンドルとバ ルトンは大親友)という説があります。写真家の平岡氏のバルトン説を両先生 は採られたのだと思いますが。」とのことだった。
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