関西学院と日本女子大の『事典』2011/03/28 07:05

 『慶應義塾史事典』(略『義塾』)『福澤諭吉事典』(略『福澤』)完成記念シン ポジウムには、関西学院、日本女子大、早稲田大の校史編纂の担当者と、慶應 は福澤研究センター所員の宮内環経済学部准教授(小尾恵一郎ゼミ)が参加し た。 関西学院と日本女子大は、すでに「事典」のかたちで校史を出版してお り、早稲田は2032年の創立150年に向けて準備を始めている。 関西学院大 学は井上琢智(たくとし)経済学部教授、日本女子大は秋山倶子(ともこ)元 成瀬記念館員、早稲田が大日方純夫(おびがたすみお)大学史資料センター所 長。 まずお一人ずつ、自分の大学の校史編纂の経過と、『義塾』と『福澤』を 読んでの感想を、30分弱で報告した。 それぞれ校史編纂に注いだ情熱と努力 が、ストレートに伝わって来て、気持がよい。

 関西学院は、創立100年にあたって写真集『関西学院100年』、全4巻の正 史『関西学院百年史』を出し、2001年の111周年に『関西学院事典』をつくっ た。 歴代学院長や著名な卒業生、アメリカンフットボール部、グリークラブ など学生団体、時計台など学内の建物など505項目、444頁。 事典出版の背 景に、自己点検・評価システムの導入と、建学の精神の明示化の必要性があっ た、という。 1995年から「日本の近代化と関西学院」(総合コース)という 「関学 学」の講座を設け、建学の精神や学校の歴史を伝えようとしている。(校 歌を歌えない学生をどうするか、ということもあった)

 日本女子大は、創立100年の2001年『日本女子大学学園事典―創立100年 の軌跡』を出版している。 出版の核になった中嶌邦教授による100年の通史 44頁と、約300頁の事典部分867項目(内、人名279)、付表、索引から成る。  「事典」のかたちを取ったのは、一味違うものをということと、多くの人に(執 筆者協力者276名)参加してもらう意図とがあった。 秋山さんは『福澤事典』 をみて、成瀬仁蔵の事典が出来ればなあ、と思ったという。 福沢と成瀬とは 関係があり、創立時、大隈重信から福沢に相談するようにと紹介され、福沢と 面談している。 日本女子大を助けた慶應義塾出身者、関係者も多い。 鎌田 栄吉、森村市左衛門、茅野蕭々、高橋誠一郎、西脇順三郎など。