「枇杷の会」上野周辺吟行2012/02/04 04:56

 29日の日曜日、志木会の俳句の会「枇杷の会」の上野周辺吟行だった。 と ても寒い日で、厚着で出かけた。 〈北風に向ひて涙上野山〉〈大寒の漢(をと こ)ばかりの句会かな〉 1時、JR上野駅公園口集合。 少し早く着いたので、 改札口と反対側へ行ってみて、驚いた。 いつもは、さっさと改札を出るので、 気がつかなかったのだが、いわゆるエキナカの店舗が沢山、新しくきれいに出 来ている。 角の、自由が丘にもある軽井沢のパンの浅野屋など、充実した感 じに見える。 洒落た文房具の店などもある。 上野駅のイメージが、まった く変ってしまった。 〈闇市の親分然と寒吟行〉

 不在投句1名を加え、10名の参加と、嬉しいことにこの会としては多く、東 照宮のぼたん苑まで一緒に行く。 寒牡丹の見ごろである。 ほとんど一株毎 に、先人の詠んだ寒牡丹の句の立て札が立っていて、引きずられそうになる。  〈正面に日浴び紅濃き寒牡丹〉〈残雪を従へて咲く寒牡丹〉 ぼたん苑を出たら、 東照宮は建て替えらしく、書割の写真(というのも変だが)になっていた。 江 戸前期、慶安四年という諸大名の石灯籠が並んでいる。 慶安四年といえば 1651年、由井正雪、丸橋忠弥らが倒幕の陰謀を企て、江戸・駿府・京都・大坂 に兵を挙げようとして発覚した慶安事件の年だ。 〈日陰雪慶安四年石灯籠〉

 動物園に入る。 子供が小さい時以来だから、何十年振りか。 実は〈猿山 の猿も団子の寒さかな〉という句が浮かんで、確認に行ったのだ。 だが、若 い猿が多く、活発に走り回っている。 まあ、いいだろう、脚色ということが ある。 中国からの観光客が多く、猿が飛んだり跳ねたり、喧嘩したりするの を見て、いちいち声を出して喜んでいる。 何を言っているのかは、わからな い。 猿が珍しいのか、孫悟空がいるじゃないかと思うが、ニホンザルのよう なのはいないのか。 〈老猿は毛繕ひさせ冬日向〉 象や熊を見に行く。 〈冬 晴や象の掲げる竹帚〉〈冬の日に北極熊はよく歩き〉

 ちょっと鈴本の隣の酒悦まで足を伸ばし、セロリと白菜の浅漬に、家人の好 きな紫蘇巻を買う。 うさぎやまで行く時間はなかった。 集合場所への帰り、 野球場の横を通る。 〈子規記念球場レフト雪残る〉 東京文化会館横で水仙 が咲き、風に吹かれていた。 〈陽だまりの越前水仙よく香り〉