志ん丸の「鼻ねじ」2012/02/26 03:08

2008年11月に真打昇進、志ん太から志ん丸になった時も、「成長株のビリケ ン頭(中略)、のっけから、無理な錆び声と、噺家っぽい語り口が、気になった。 普通にやればいいのだ」と書いていたが、今回も同じ感想。

とある動物学の学者、動物の歩き方を研究している。 ムカデの足はどこま で減らしても大丈夫か。 1/3取ってみる、動いた。 1/2にしたら、動かなか った。 足が半分になったら、ムカデは耳が聞こえなくなる、というのが、研 究結果。 この小噺、意外な転換が可笑しい。

丹波屋の旦那が、小僧の貞吉を呼んで、口上を教え、裏の学者先生の所へ談 判に行かせる。 裏の家へ伸びて咲いている桜の枝を、学者が梯子をかけてポ キンポキンと折ったからだ。 塀が見えるか? へいへい。 境目、国境い、 越えてきたからには、こちらの勝手だ、一筆したためてやる。 「塀ごしに隣 の庭へ出た花は、ねじよが折ろがこちら次第」

旦那は、番頭を呼ぶ。 番頭は、承知しましたと、どこかの家政婦みたいな ことを言う。 芸者、幇間をたくさん呼んで、花見のドンチャン騒ぎ(賑やかに 下座が鳴る)。 学者、エッヘン、五月蠅い、五月蠅くて講義が出来ない。 隣 の花見では、芸者連中が長襦袢一枚になって総踊りが始まる。 今日は、自習 にする。 先生、なんとか見たいと、塀の節穴から覗こうとするのを、こちら は待機の番頭、サッと穴をふさいでしまう。 梯子を持ち出して、覗こうとす るのを、こちらも梯子をかけ、右手に大きなヤットコを持った番頭、学者先生 の鼻を、ギューーッと。 何を、する。 今朝方の返歌でございます。 「塀 ごしに隣の庭へ出た鼻は、ねじよが折ろがこちら次第」

あまり聴かない噺だと思ったら、つまらない噺だった。 志ん丸の技量と、 噺自体の問題の、どちらに多く責任があるかは、判然としなかった。