地口行灯、宝蔵門・本堂・五重塔の屋根2013/06/13 06:27

 伝法院通りには、地口行灯(じぐちあんどん)がある。 見上げて、読むと、 面白い。 恵比寿様が大根を齧っている絵があって、「ゑびすだいこくう」の字、 これは「恵比寿大黒」だ。 娘さんが板をノコギリで挽いている絵に、「板きり むすめ」とある、「舌切り雀」。 フンドシ一丁に刀を差した侍が風呂へ飛び込 む「とんでゆに入る夏のぶし」は、「飛んで火に入る夏の虫」。 坊さんが数珠 をとり落し、「坊主の手からじゅづがもり」は、「上手の手から水が漏り」。 「ひ まの大工に五十両」は、「縞の財布に五十両」。

 浅草公会堂前の「スターの広場」でスターの手形を見て、仲見世へ戻り、宝 蔵門から浅草寺本堂へ。 雷門は昭和35(1960)年の松下幸之助の寄進だが、 宝蔵門は昭和39(1964)年のホテルニューオータニ等の実業家大谷米太郎夫 妻の寄進による。 それぞれ「六四の会」が入学した年、卒業した年のことで、 高度経済成長が始まっていた。 金剛力士(仁王)像、左(西)の阿形像は仏 師錦戸新観の作でモデルは北の湖、右(東)の吽形像は木彫家村岡久作の作で モデルは明武谷(みょうぶだに)だそうだ。 門の背面、藁2.5トン使用の巨 大わらじが、山形県村山市奉賛会の製作奉納なのは、村岡久作の出身地という 縁だという。

 この宝蔵門(平成19(2007)年改修)と本堂(平成21(2009)~22(2010) 年改修)の瓦は、耐震性の向上と参拝客の安全を確保するため、軽量で耐食性 に優れたチタン成形瓦が使われた。 チタンの表面にアルミナブラスト加工し たもの。  土瓦の1/13の重さだそうだ。 清水建設の設計施工、素材のチ タンは新日鐵から日本鐵板が供給し、瓦は(株)ルーフシステム(福島県喜多 方市)が製作、その親会社(株)カナメが工事を担当したという。

 本堂、正面の額の字は「施無畏(せむい)」、観音様は経典で「施無畏者」と 呼ばれ、人々の不安や恐怖を取り除き、「畏れ無きを施」して下さる意。 深見 玄岱筆(享保12(1727)年)。 天井絵は、中央「龍之図」が川端龍子、左右 「天人之図」が堂本印象作。

 五重塔は、昭和48(1973)年の再建で、鉄筋コンクリート造、アルミ合金 瓦葺き。 旧五重塔は、今のとは境内の反対側(西側)にあり、天慶(てんぎ ょう)5(942)年の平公雅(たいらのきんまさ)による創建以来、何度も焼失 している。 塔の上部の相輪が、少し曲がっているのは、平成23(2011)年の 3.11東日本大震災で珠(重さ100キロ)の一つが落下したためで、珠は裏側に 落ち、人的被害はなかったという。 塔は高さ5メートルの基壇の上に建てら れ、塔自体の高さは約48メートル、最上層にスリランカから招来した仏舎利 が安置されている。 基壇内部には、永代供養のための位牌を納めた霊牌殿な どがあり、五重塔には、関係者以外、一般の参拝客は入れない。 高価なアル ミ瓦、チタン瓦の資金源は、この辺にもありそうだ。

コメント

_ 轟亭 ― 2013/06/19 17:59

「五重塔には、関係者以外、一般の参拝客は入れない。 高価なアルミ瓦、チタン瓦の資金源は、この辺にもありそうだ。」←(その後、年間何回か、一般の人が入れる機会があり、位牌を納めるのも、庶民的な観音様のことで、それほど高くはないという話を聞いた。)

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