柳亭こみちの「虱茶屋」2019/02/24 08:02

 こみちは女流、ピンクの着物に、紫の袴、黄緑の帯締め。 落語研究会愛が 強く、パーマネントをかけてきたので、加藤登紀子観が増している、と。 ト ランプ大統領の嘘は8千を超えたと報じられた。 2年で8千なら、1年で4 千、半年で2千、3ヶ月で千、1ヶ月に………3百ちょっと、1日に10何個の 嘘、ということは、噺家と余り変わらない。

 5歳の長男が、落語研究会のテレビでさん喬師匠を見て、男の人も落語やる の、と。 男の人で落語をやるのは、ウチの師匠(柳亭燕路)とこの人の二人 だけと教えた。 私は、この噺がやりたくて、やりたくてという噺をやる。 こ のために噺家をやってる。 この噺は、見ていないとわからない噺。 見立て 落ち。

 先生、本を読んでますね、ここに来ると、利口になる、何か面白い話はあり ませんか。 人間五尺の体、手を広げても五尺、縦横寸法が同じ。 顔も同じ で、(親指と人差し指を広げて、長さを計り)横が一つ半、(下から)縦も一つ 半。 しかし私の顏は不思議だ、横が一つ半、縦は(一つのところで、口を開 けて)二ァーーつ。 いいことを伺った、さよなら。

 源ちゃん! 人間てのは、おかしなもんだな。 人間わずか五尺の体、顔の 長さも五尺。 何か間違っているんじゃないか。 しかし私の顏は不思議だ。  お前は、いつも不思議だ。 横が一つ半、(指を下から)縦は一つーーッ(と言 ってから、口を開け)おーーーッ! 見ていないとわからない噺。

虱(シラミ)は、しがみつく、捻るようにしないと取れない。 爪と爪でつ ぶすか、歯でポチンとつぶし、プッと吐き出すかしないと、退治できない。 芸 者や幇間を上げる社長、変わった遊びはないかと、お金を出してシラミを買い 集めた。 地下道などにいる、業界で野外職業探索コンサルタントと呼ばれて いる人たちから。 シラミ一匹いくらで? って聞いたら、シラネーーッ、と。

瓶に詰めて、行きつけの料亭へ。 最近、神楽坂で浮気なさっているってじ ゃないですか。 二階の広間は空いているか。 風呂に入って、浴衣丹前に着 替えて、女中と一杯やっている内に、見番へ電話。 こんばんは! 梅奴か。  こんばんは! 松奴か。 こんばんは! 竹奴か。 冷奴に、一八、お前も来 たか。 先だっては社長、とんでもないいたずらで。 今日は、何も考えて来 なかった。

こないだの人、吉田不兼好さん、骨相に凝っていてね、吉田さんに教わった 骨相で、みんなを観てやりたいが、どうかな。 私を観て下さい。 私も! 私 も! 私も! わかった、わかった、騒ぐな、並んで、並んで、座って、座っ て。 みんな、向うを向いて、襟を出せ。 後ろを振り向かないように。 梅 奴、いい襟足してるじゃないか。 芸事がしっかりしている、来年の三月ぐら いに、いいことがある。 そんなことを言いながら、シラミの配給をしていく。  一番終いが、一八で。 十分に観てやろう、襟をついて。 お前は上げての末 の幇間だな、喧嘩っ早いところがある、我慢が大切だ。 お前は十分に観てや ろう。 社長、驚きました、大道で観てもらう当たるも八卦(だんだん痒くな って来る)よりよく当たる、中年からの芸人で。 私に、お盃を。 (一八、 痒いので、盃を持つ手がゆれる)何をお前さん、動いているんだ。 ご返盃を。 (一八、盃からシラミをつまみ出して、つぶす) (じっとしていられないの で、)踊りましょう、夜桜を。 アー、コリャ、コリャ! (踊りながら、背中 を掻いたり、懐に手を入れて掻いたり、首の下を掻いたりする。 扇子で、袖 のシラミを叩きつぶしたり、つまんだシラミを歯でポチンとつぶし、プッと吐 き出したりする) アー、コリャ、コリャ!

痒くて、痒くて。 みんな、痒い、痒い。 ご辛抱を。 社長、またやった ね。 さっき、一列に並んだ時、あの時ですね。 シラミを入れたんでしょう、 社長の左の袖口にシラミがゾロゾロ並んでいます。 いけない、瓶の口が開い ていた。 それごらんなさい、犯人が口を割った。

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