『広辞苑』で「馬場」を引く、「馬場佐十郎」 ― 2019/06/13 07:00
もう一度、「馬場佐十郎」が登場した「等々力短信」は、『広辞苑』が満35 歳になった平成2(1990)年10月25日の第547号「それぞれの『広辞苑』」 で、その年に岩波書店の『図書』が連載していたコラム「『広辞苑』と私」から、 八月号の木下順二さんの回を紹介した流れだった。
「木下順二さんは、「遊び」の本として、『広辞苑』を楽しむ。 馬に感心を 持っている木下さんは、馬についての見出し語を、ぶうぶういうセクレタリに 手伝ってもらいながら、総点検したのだそうだ。 たとえば「下馬」を含む見 出し語だけども、「下馬売」「下馬将軍」「下馬雀」「下馬牌」「下馬評」などがあ り、それら馬用語の解説と関連項目の解説などを読み合わせてみていると、「室 町から江戸期へかけての社寺や貴人の門前で主人とそのお供がつくりだす光景 や、正月初乗(はつのり)からその他武家の乗馬万端の光景を、ちょっと気取 っていえば、髣髴と浮び上らせてくれるようなのである」という。 武家の正 月乗初(のりぞめ)では、「馬場始(はじめ)」などという、個人的に興味をひ かれる項目があるのを知った。 さっそく『広辞苑』で「馬場」を引くと、出 るは出るは「馬場――退(の)け」「馬場金埒(きんらち)」「馬場孤蝶」「馬場 先」「馬場先門」「馬場佐十郎」「馬場三郎兵衛」「馬場末」「馬場辰猪」「馬場恒 吾」「馬場殿」「馬場の舎(や)」「馬場乗」「馬場文耕」「馬場見せ」「馬場本(も と)」と出た。 これらの解説を読んで、『広辞苑』の関連項目を、あちこちひ っくりかえしているだけでも、秋の夜長を楽しめそうだ。 『広辞苑』の、ふ ところは、まことに深い。」
現在の『広辞苑』第七版で、「馬場佐十郎」をみると、「江戸後期の洋学者。 名は貞由。長崎の人。志筑(しづき)忠雄に西洋物理学を、ズーフらに蘭・仏・ 英語を、ゴロウニンにロシア語を学び、幕府の蕃書和解御用に出仕、「厚生新編」 の訳述に従事。著「魯語文法規範」(別名、俄羅斯語学小成)「蘭訳梯航」「遁花 秘訣」など。(1787~1822)」
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