上層部の圧、ドラマ『倫敦ノ山本五十六』2022/01/18 07:08

 録画しておいたNHK総合12月30日放送のドラマ『倫敦ノ山本五十六』を見た。 古川健・作、山本五十六を香取慎吾、堀悌吉を片岡愛之助、松平恒雄駐英大使を國村隼、高橋是清を山本學が演じた。 昭和9(1934)年秋、ロンドンでの海軍軍縮条約の予備交渉首席代表としての山本五十六を描く。

 海軍軍縮条約の歴史を見ておく。 昭和5(1930)年1月~4月、ロンドン会議、英米は海軍力均等で合意していて、日本は全艦種について対英米7割の比率を要求してアメリカと対立した。 日英米三国会議で、日本は6インチ砲搭載軽巡洋艦と駆逐艦で対英米7割、潜水艦は均等とする条件で8インチ砲搭載重巡洋艦の対英米6割の比率を受け入れ、三国はロンドン海軍軍備制限・縮小条約に調印した。

 同条約は昭和10(1935)年に新たな海軍軍縮条約の開催を予定したため、昭和9(1934)年10月に予備交渉が開かれたのであった。

 当時、山本五十六は50歳で少将だった。 ハーバード大学に留学し、後に駐米大使館付武官も務めたので、アメリカの国力の強大なことはよく知っていた。 軍令部総長伏見宮博恭王(嶋田大作)、海軍大臣大角岑生(渡辺いっけい)ら海軍上層部は、海軍力増強のため主力艦で対英米比率が6割の軍縮条約を脱退する方針だった。 予備交渉の首席代表にと呼ばれた山本は、適任ではない、海の上のほうが性に合う、と一旦は断るが、平等な戦力比率の条約があれば、英米の戦力を制限できるので、粘り強く交渉するよう期待する、と上層部に押し切られる。

 山本五十六の同期の親友、堀悌吉中将が山本の家にやって来る。 二人は日露戦争の日本海海戦で、戦争の悲惨さを経験し、山本は指二本を失っていた。 堀は、可能な限り戦争を避ける、戦争をしないことが誇りだという非戦論で、条約の枠内に収めておける軍縮条約は必要だが、上層部は破棄する積もりであり、交渉の決裂は戦争への道だ、生命に勝る誇りはあるか、と言う。 山本は、国と国民はどうしても守る、誇りも平和も両立させる、軍縮を上の納得する条件で見直して、アメリカを譲歩させる、戦えば必ず負けるのだから、と交渉に臨む決意を述べるのだった。

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