中島隆信さんの「大相撲の経済学」2005/06/24 08:13

 毎年アジサイの季節に、鎌倉市極楽寺の成就院を訪れる。 恩師小尾恵一郎 先生を偲ぶゼミのOB会「紫陽花ゼミ」があるからだ。 第8回の今年は、19 日の日曜日にあった。 私の5期は6名出席、一番多かった。 今秋『小尾恵 一郎著作集』が慶應義塾大学出版会から刊行開始されるという嬉しいニュース を、学校に残っている25期の宮内環さんが報告した。 

 24期で商学部教授になっている中島隆信さんから「大相撲の経済学」という 講義を聴く。 難しい理論じゃないのが、ありがたい。 中島隆信さんは2003 年9月東洋経済新報社から『大相撲の経済学』を、今年の3月には『お寺の経 済学』を出した。

 「大相撲の経済学」のキーワードは「力士も会社人間」、力士という企業特殊 的人的資本は相撲の世界の中でしか生かせない。 入門してから長くて35歳 までの20年の現役、協会に残れれば65歳の定年まで、クビにするシステムは ない。 幕下までは、住み込みの賄い係・付け人、部屋には協会から一人年180 万円来る。 出世の分かれ目は三段目、ほぼ先が見える。 強くなれなければ、 第二の職場を探さねばならぬ。 ちゃんこ屋で見習い・料理修業、水商売が多 い。 成功はおぼつかないから、強くなって十両以上の関取となり、なるべく 協会に残ろうとする。 年寄名跡は105しかなく、毎年6~7人の関取が引退 するのに、年寄で定年になるのは平均3.5人、狭き門の年寄株は2億円以上と いわれる。

 そもそも力士の給料は、基本給(横綱282万、大関235万、関脇・小結169 万程度)のほか、勝ち越し点数や金星数、優勝などで積み上がる「持ち給金」(年 6回)がある。 優勝など成績を上げたり、関取で長く在籍すれば、相当な金額 になる。 持ち給金は下がらないから、なんとしても長く勤めることが、力士 としての成功である。 それが「力士も会社人間」という理由だ。  その他いろいろな話があったが、さわりは本に書いてあるので、ぜひ本を買 ってくださいと笑わせた。