ヴィンセントとテオの映画『ゴッホ』 ― 2005/08/11 13:24
東京国立近代美術館でゴッホ展をやっていた頃、BS2でやった『ゴッホ』という映画 を見た。 カーク・ダグラスの『炎の人 ゴッホ』ではない。 1990年の、イギリス、 フランス、オランダの映画で、ロバート・アルトマン監督作品、ゴッホ(ティム・ロス) も弟のテオ(ポール・リース)もゴーギャン(ウラジミール・ヨルダノフ)も英語をしゃべり、 ゴッホが壁に書く文字も英語だ。
ヴィンセントは、絵は懸命に描いているのだけれど、へんな人だ。 モデルに使って いる娼婦(子連れの)と、同情から同棲したりする。 その娼婦が、西洋式の琺瑯のおま るで小便をする場面がある。 女性のそういう場面を、映画でみたことはなかった。 弟 テオは、パリの画商の店で働き、そんな兄を経済的に支えている。 パリに出てきたヴ ィンセントは、画塾に通い、浮世絵を買ったりする。 画家たちとの交流もできるが、 ヴィンセントの絵は売れない。 (浮世絵の光を求めて←映画には、その説明はない)ア ルルに行き、ゴーギャンと共同生活を始める。 そんなのも、全てテオの負担であり、 オランダ娘ヨハンナ(ヨハンナ・テール・ステーヘ)と結婚したテオは、さらに経済的に 苦しい状況になる。 ゴーギャンと絵具の取り合いから始まり、理想や作風の口論が生 じ、ヴィンセントは精神的に追いつめられていく。 そして耳きり事件を起し、サン・ レミの精神病院入院、オーベール・シュル・オアーズのガシェ博士のもとにあずけられて、 ピストル自殺に至る。
たえず兄を思うテオ、そのために自分の家族(妻ヨハンナとヴィンセントと名づけた息 子)をないがしろにするところがある。 毎日のように来る兄からの手紙も、妻には見せ ない。 そしてテオ自身も、だんだん精神に異常を来してくる。 ラストに出てくる兄 弟並んだ墓は、テオが兄の死んだ翌年に死んでいることを示す。
ゴッホの死後、その評価が高まったについては、弟テオの妻ヨハンナの力が大きかっ たと、聞いている。 この映画を見るかぎり、それは奇跡に近いことに思える。
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