心の優しさ、知の鋭さを併せ持つ2014/02/11 06:38

 磯田さん…秀吉は官兵衛を兄弟同様だとして、直裁きを許し、権限を与える、 それで官兵衛は博多をつくった。 官兵衛は外交交渉(調略)に長けていて、 相手方は味方の中に内通者がいて誰が敵かわからない状態になる。 官兵衛は 母を見るとわかる、マザコン。 父は明石(?)の豪族だが、母は桂の里で15 歳まで育ったとされる、京都の桂女(かつらめ)だろう、遊女のようなことも したが和歌を詠み教養があった。 人間平等の考え、コミュニケーション能力、 忍者のような働き、情報収集力などに、母の影響があったのではないか。

 松本さん…黒田家は商売をした(目薬屋、米や銭の低利貸し)ので、合理的 に判断できる、戦さや城などに金がどれだけかかるか数字を計算できる。 『国 盗り物語』の斎藤道三もそう。 これは(兵站・ロジスティックスを尊重しな かった)日本軍に対する大いなる批判。 そして一国市場圏を考えた。

 諸田さん…中世の地方では、血筋、家族を大切にした。 官兵衛は、和歌好 き、病弱、臆病。 官兵衛の眼を通して時代が見える。 官兵衛は、文化的な 現象だ。

 磯田さん…殺し合いの中で、茶道や連歌をやっていた時代。 官兵衛が荒木 村重に幽閉された有岡城(伊丹城)の牢の中から、藤の花房が芽を出し咲いてい くのを見て、天(でうす)は自分を捨てていない、自分は生きるだろうと悟る 名場面があるが、心の優しさ、知の鋭さを併せ持っていた。 黒田の家は優し い家で、奈良の長谷寺の廊下を直すのは官兵衛以前の黒田家、不思議な家だ。  古屋さん(司会)…『播磨灘物語』「藤の花房」の個所を朗読。 磯田さん…実 際に藤があった可能性がある。 地名を調べたら、藤の木だった。 藤は水の いい所に生える、如水という名前も、水につながっている。

 諸田さん…水は、澄明な心事につながる。 澄明な気持でないと、判断でき ない。 磯田さん…人間、智恵でやれることは限りがある。 官兵衛は、自分 が知で考え出した方向性は、絶対にやめない、ある種恐ろしい男。