2014年「夏潮」新年会2014/02/19 06:39

 16日「夏潮」の新年会が、アルカディア市ヶ谷で開かれた。 旧暦の暦や山 河を守るのが、本井英主宰の方針である。 「雪道だから回り道のお土産はい りません」といわれて出た奥沢駅までの道には、若干雪が残っていたので、夜 になった帰りは自由が丘を回ることにした。 第5回黒潮賞受賞の諏訪の矢沢 六平さんが、雪のために出席できなかったのは、まことに残念なことであった。  受賞作「流し雛」には、<体操へ行く人青田そよぎけり><ゆくりなき水の早 さや流し雛><チョンガーの蛙も鳴かぬ夜なりけり>などの句がある。 六平 さんには、2010年の御柱祭に誘っていただき、お宅に泊めてもらって、諏訪大 社上社の「里曳き」を見物する貴重な経験ができた。

 新年句会、58人の参加、5句出句、3句選。 285句の中から3句を選ぶの だから、選句されるのは、宝くじに当るようなものである。 と、まず伏線を 張っておく。 主宰は、かなりの数を選句されるから、そちらの方に入る可能 性は、多少あるかもしれない。 選後の評で、主宰は虚子の「採らぬ親切」と いう言葉を引き、花鳥諷詠の道では奇を衒った、他人と違うことを言って、目 立とうとするような句は採らない、とおっしゃった。 私などは新奇な特ダネ を狙う、5W1Hの新聞部出身だから、どうしても助平根性が出る上に、説明的 になるところがある。 毎度反省はするのだが、中学の頃から身についた癖だ から、なかなか高尚な気持にはなれない。 インチキ俳句と称する所以である。  出句した5句は、

霙るゝや誰もが厭ふ渋谷駅

舊正の坂を下れば昭和館

雪解道この先近衞師團跡

椿の葉一枚ごとに春の光

初句会数多の句見て眠くなる

 私が選句した3句。

春光をのせて漣(さざなみ)たたみ来る   山内裕子

雪の屋根連なるむこう白き富士       前北麻里子

春光やほたたほたたと雪しずく       冨田いづみ

 私の句は、<雪解道この先近衞師團跡>を、櫻井耕一さんと主宰に採ってい ただき、辛うじてスコンクは逃れた。

 宴会では、黒潮賞、親潮賞の表彰があり、吉例の大漁旗が授与された。 親 潮賞は、山口照男さんの「原爆忌」。 山口さんは長崎で胎内被爆、ご兄姉をな くされ、<足乳根の胸にケロイド原爆忌><はらからの享年をさな墓洗ふ> <溶け残る姉のロザリオ赤カンナ>などの句があった。

 梅岡礼子さんの慶應中等部以来のマンドリン・クラブのお仲間「アンサンブ ル・ヴェルデ」の素敵な演奏があり、その伴奏で一同「浜辺の歌」と「花」を 合唱した。 恒例の宝くじによる福引、二年連続で主宰の色紙を当てるなど、 毎回くじ運のいい私は、3等賞の九段一口坂さかぐちの「一口あられ」を頂い た。 「雪道だからお土産はいりません」の、よいお土産になった。