「おでん」と「冬木」の句会 ― 2014/12/16 06:36
11日は、「夏潮」渋谷句会だった。 兼題は「おでん」と「冬木」、私はつぎ の七句を出した。
夕飯におでん残して妻出かけ
みえみえの土産のおでん提げ帰る
ちくわぶは好きと嫌ひのおでんかな
コンビニのおでんは食はぬ漢かな
ひと一人をらぬ避暑地の冬木かな
これ以上痩せられぬ人冬木見る
天を射る矢の形して冬木立つ
私が選句したのは、次の七句。
夜に入りて変る風音おでん鍋 松子
席つめてもらひて独りおでん酒 さえ
馬鈴薯を入れて我が家のおでんなる 和子
板囲ひされておでんの古屋台 真智子
薄々と冬木の上に昼の月 真智子
ちんまりと祠ありけり冬木中 さえ
電飾を巻きつけられし冬木かな さえ
私の結果は、<ちくわぶは好きと嫌ひのおでんかな>を淳子さんとひろしさ ん、<コンビニのおでんは食はぬ漢かな>をひろしさん、<ひと一人をらぬ避 暑地の冬木かな>を裕子さん、<これ以上痩せられぬ人冬木見る>をやすしさ んが、それぞれ採ってくれた、互選計5票、主宰選はゼロで、今年最後の句会 もちょぼ・ちょぼで終った。
主宰選に私の句はなかったので、私の選句した句で主宰が採られた句につい て、いくつか主宰の選評を書いておく、 <夜に入りて変る風音おでん鍋 松 子>…人気のあった句。二人で食べ始めたけれど、誰かが帰って来るのを、気 にしている。よい関係の家族だが、おでんがだんだん減ってゆく。 <席つめ てもらひて独りおでん酒 さえ>…哀しい句。家に帰りづらくて、安く酒を呑 む。ストーリーのない映画のよう。小津安二郎の映画などは、こういう技の連 続だった。 <ちんまりと祠ありけり冬木中 さえ>…いい句。木立をなして いる一本一本の木に祠を守る気分がある。 <電飾を巻きつけられし冬木かな さえ>…木は明らかに嫌っている。作者は冬木に代わって詠んでいる。
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