「ニューイングランド・ペイトリオッツ」から2015/02/12 06:34

 前に書いた日記を、「ペイトリオッツ」で検索していたら、藤原正彦さんの『国 家の品格』という本から、「ナショナリズムとパトリオティズム」の違いを書い た部分を取り上げているのが出てきた。 それを、あとで引用する。

ニューイングランド・ペイトリオッツというチーム名は、言うまでもなく、 アメリカ史に由来する。 メーン、ニューハンプシャー、ヴァーモント、マサ チューセッツ、ロード・アイランド、コネチカットの6州から成る地方だ。   1614年、ここにロンドンの商人数人がやって来て、その時の船長ジョン・スミ スが「ニューイングランド」と名付けた。 その後コッド岬に、イギリスの宗 教的圧迫を逃れたピルグリム・ファーザーズと呼ばれる清教徒たちが上陸して、 最初の植民地を建設した地である。 それを契機に、イギリス人、フランス人、 ドイツ人などが移住した。 1636年に、ハーバード、エール両大学の前身の学 校が設立された、合衆国で最も文化の高い地域で、18世紀にはアメリカ独立運 動の中心となった。

ナショナリズムとパトリオティズム<小人閑居日記 2006.2.4.>

 講演と離れるが、藤原正彦さんの『国家の品格』の中で重要だと思ったのが、 日本であまりよいイメージで語られない「愛国心」という言葉には、二種類の 考えが流れ込んでいる(二つの側面がある)という指摘だった。 藤原さんは、 英語のナショナリズムとパトリオティズムは別だと言い、ナショナリズムを「国 益主義」、パトリオティズムを「祖国愛」と訳す。 そして、ナショナリズムと は、他国のことはどうでもいいから、自国の国益のみを追求するという、あさ ましい思想で、戦争につながりやすい考え方だとする。 パトリオティズムと は、自国の文化、伝統、情緒、自然、そういったものをこよなく愛することだ とする。 そして藤原さんの主張する「祖国愛」は、英語のパトリオティズム に近い、という。

 普通、ナショナリズムは「民族主義、国家主義」、パトリオティズムは「愛国 心」と訳される。 パトリオットは「愛国者、志士、憂国の士」、私などは語感 として、こちらの方が戦争につながりやすいと思っていた。

藤原さんは、ナショナリズムとパトリオティズムの二つを峻別しなかったた めに、戦後はGHQの旗振りのもと、「愛国心」が戦争の元凶として二つもろと もに、捨てられてしまったという。 そして日本が現在、直面する苦境の多く は、「祖国愛」の欠如に起因すると言っても過言ではない、という。

コメント

_ 轟亭 ― 2015/02/13 08:57

 戦後40年・1985年の「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる。我々は、若かろうが年をとっていようが、みな過去を受け入れなければならない」という「荒野の40年」演説で知られ、1月31日に94歳で亡くなったドイツのワイゼッカー元大統領は、「ナショナリストは他人を憎む者、愛国者は自国を愛するとともに、隣人の愛国心を理解し敬意を払う者のことだ」(独テレビ局のインタビューに答えて)と、言っているそうだ。(2月13日朝日新聞朝刊)

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