「茅花(つばな)」と「踏青」の句会2023/03/16 07:08

 9日、『夏潮』渋谷句会があった。 本井英主宰は、入院手術加療のため、しばらくお休みされる。 早いご快癒を祈る。 お見舞に対して、<あたたかや祈つてくれる人のゐて>の句を返されたという。 兼題は、「茅花(つばな)」と「踏青」。 「茅花」は、茅萱(ちがや)の花、三月ごろ葉のまだあまり伸びないうちに槍のように尖った苞に包まれた花を生じる。 この苞がほぐれて中から絹糸のような白毛の密生した穂が現れる。 「踏青」は、青きを踏む、中国の故事にならった野遊、野辺に出て、青草を踏み、逍遥を楽しむこと。 私は、つぎの七句を出した。

  一方へ傾く世論茅花原
  夕まぐれ棚田に茅花吹かるるよ
  グライダー揚がる河原に茅花生ふ
  茅花流し多摩川の空広々と
  里山へ移住の夫婦青き踏む
  久々にマスクを取りて青き踏む
  卒業の子ら手をつなぎ青き踏む

 私が選句したのは、つぎの七句。 最初の句を特選とした。
  踏青や矢倉岳金時山(ヤグラキントキ)晴れ渡り  和子
  車窓から茅花の波と潮風と      淳子
  茅花野に月下の犬のさまよへる   盛夫
  つばな野や高原バスの傾ぎ来る   作子
  むき出しの手足まぶしく青き踏む   さえ
  踏青や遠くに海の見えて来て     礼子

 <踏青や矢倉岳金時山(ヤグラキントキ)晴れ渡り>を特選とした理由に、12月に三田あるこう会で登った二宮の吾妻山からの景色がその通りだったこと、矢倉岳金時山を(ヤグラキントキ)とフリガナしたリズムのよさを挙げた。
二宮の吾妻山については、12月14日に発信の二宮吾妻山散策<等々力短信 第1162号 2022(令和4).12.25.>に書いていた。

 私の結果は、<夕まぐれ棚田に茅花吹かるるよ>を和子さんと美佐子さんが、<卒業の子ら手をつなぎ青き踏む>を金太郎さんが採ってくれて、互選3票とチョボチョボだった。 そういう時に救われる主宰選が、ないのが痛かった。

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