妹和子さんの見た向田邦子2005/07/15 08:28

 6月18日と19日に書いたNHK教育『知るを楽しむ』“私のこだわり人物伝” 太田光の「向田邦子 女と男の情景」だが、第3回「ダメな男をかわいがる」 第4回「強いけど、もろい人」というのも見た。 第4回は、向田の九つ下の 妹、和子さん(1938年生れ)に、太田が話を聞いた。 和子さんは、姉の邦子さ んのことを「邦子さん」と言い、「あれ以上の人はいない」「完璧」と言った。  赤坂に「ままや」という小料理屋を和子さんに出させたのはよく知られている が、開店3年目に突然死んだ。 その間に、自分の仕事仲間は全部、紹介し終 わっていた。 それは店のたくみな宣伝だった。 小さい時から、大人びた、 かわいくない子供、父親より父親らしい人だった。 和子さんは、自分が姉の 死んだ51歳9か月になった時、ものすごいショックを受けた、という。 姉 は、何て大人だったんだろう、なんでも知っていたと気付いたのだ。 これは 大変だ、自分の今までの時間はスカスカだった、と。

 向田邦子には、20代前半から10年以上、つき合っていた恋人がいた。 13 歳年上のカメラマンで、妻がいた。 その人は、向田が32歳の時、脳卒中で 倒れ、離婚して、一人暮らしになった。 売れっ子作家になりかけの向田は、 忙しい仕事の中で、その人をかいがいしく世話する。 向田の蔵書を収めた母 校実践女子大学図書館の「向田邦子文庫」には、脳卒中の本が何冊もあるとい う。 だが、向田が34歳の時、その人はあっけなく自殺してしまう。 太田 光は「ダメな男をかわいがる」で、向田がここまでやっていたのに、男が自分 の理由だけで、簡単に自殺してしまった。 向田は、そんな男の弱さが許せな かったから、いろいろのドラマの中で、弱い男を一杯出してきた、また死を重 要なものとして扱わないというか、避けているのだ、という見方をした。 そ れに対する和子さんの意見は、少し違っていた。