正朝の「祇園祭」2005/07/31 08:58

 トリは春風亭正朝で「祇園祭」。 落語研究会のトリは初めてというので、か なり緊張していたようだ。 「トリを取る」という言葉が寄席から出ている、 あまり良い言葉ではなくて、最後に高座に上がる者が勘定を全部取り、それを 前の出演者に分けるところから来たというような話をした。

 プログラムの長井好弘さんによると、師匠の柳朝は正朝に、冒頭の旅の部分 はダレ場で、後半のお囃子合戦になってようやく盛り上がるこの噺を「そのウ ケない前半こそ、ちゃんと間をとって、きちんとやらなきゃいけねえ。もうか る噺ばかりやっていたら、度胸も技術も身につかねえぞ」と、教えたそうだ。  江戸から旅して、京の玄関、粟田口に着いた三人、汚いままで京に入るのでは、 先祖の助六にすまねえ、先祖の幡髄院長兵衛に申し訳ねえ、オツな東男になろ うと、「ゆ」を探す。 「ゆ」ではわからず、所変れば、品の名が変る、ようや く「ふろや」というのだと、わかる。 「じょうろかい」も「おやまかい」(と いうと、何かナマナマしい感じ)、三条木屋町で「おやまかい」する内に、路銀 を使い果たす。

 京都におじさんのいる一人だけが残って、おじさんの友達と梅村屋の二階か ら祇園祭を見物することになる。 祭で芸妓(げいこ)は出払っているけれど、 「よく(欲)吉」という、すぐ客の仕事を訊いて、おねだりする行儀の悪い芸妓 ならいるという。 あまりやられることがないという落ちは、商売を訊かれた 江戸っ子が「隠坊(おんぼう)」だと答え、よく吉が「それじゃあ安く焼いてく れる?」と言うのだった。

 正朝が気合を入れて演じたお囃子合戦に、拍手が来た。 東京人(江戸っ子) は、うれしくなるのである。 好演。 この人、一生懸命さがすんなりと伝わ るのは、やはり人柄だろう。