人情喜劇『火焔太鼓』2005/07/17 08:43

 5月に明治座でやった『火焔太鼓』という芝居、ちょっと観たいと思ったの だが、思っただけになっていた。 9日の土曜日、BS2「山川静夫の新・華麗 なる招待席」で放送があった。 ちょうど神代植物公園を吟行していた時間で、 録画しておいた。 それが見事に?失敗、最後の大事な30分ほどのテープが 足りなかった。 それで完全な評にはならないが、見た限りでの感想を書く。

 作・演出は水谷龍二、出演は風間杜夫と平田満のコンビに、余貴美子、萩原 聖人、加藤貴子、小宮孝泰ら。 このメンバーで2002年には『居残り佐平次』 をやっている。 現代演劇の旗手たちが、古典落語の世界を演ずる、というキ ャッチフレーズ。 落語の「火焔太鼓」と「妾馬」に足して、「幾代餅」をひっ くり返したのと「お富与三郎」の勘当された若旦那(萩原聖人)をくっつけたよ うな話。 落語をどう料理したかに興味があったが、正直なところ、期待した ほどでなかった。 落語好きには、おなじみのくすぐりが多く、つい採点が辛 くなるのかもしれない。 

今津藩の殿様(平田満)が錦絵「江戸小町娘六歌撰」で見たお美代(加藤貴子) に一目惚れして、恋患い。 お美代は、道具屋の甚兵衛(風間杜夫)も住むつる かめ長屋の大家の娘だ。 舞台回しに、甚兵衛の格好のままでやる風間杜夫の 落語はなかなか巧い。 風間の甚兵衛はつい本人の地が出て、落語の甚兵衛さ んより、はしっこくて、ちょっと違う感じがする。 風間が殿様をやり、平田 満が甚兵衛をやって、舞台回しの落語は風間が衣装替え(早替り)してやったほ うが、よかったのではないか。 それから、もう少し若い与太郎はいなかった のだろうか。