「日本の四季」と、なぜ五・七かの序2005/07/21 10:59

 井上ひさしさんは、俳句の「季」について、日本人は季語の助けを借りて(季 語を支えとして)自然とともに生きていく、むずかしくいえば、日本に生れた運 命を必然に変えていく営みだと言った。 子規が厳密にいう「日本の四季」は、 節分の豆撒きをする2月4日から始まり、この日に寒が明けて春が立ち、5月 6日に夏が立つまでの三ヶ月が春。 5月6日の立夏から8月8日の立秋まで が夏、立秋から11月8日の立冬までが秋、立冬から立春までが冬である。

 なぜ五・七・五、五音、七音なのか。 日本語は、あめ、つち、ほし、そら、 やま、かは、など二音で、生活上基本的に必要な言葉を作っている。 それが 重なり、一音の助詞が付くと五音になる。 あめつちの、そらのほし、やまと かは。 この時、井上さんが「助詞」を「女子」のアクセントでしゃべったた め、前の方のおばさんからクレームがついた。 井上さんは無アクセント地帯 の東北出身ですから、といい、突然反論しますと笑いながら、アクセントは日 本本来のものでなく、漢字が輸入された当時、中国語を重んじた上流階級が、 中国語の細かいアクセントまで真似ようとしたのだ、話した。 さらに、アナ ウンサーのアクセントなどに対して、日本語が乱れるという苦情を言ってくる のはどういう人なのか、NHKが調査した結果によると、世田谷区の人が圧倒 的に多い、という結果が出た。 なぜか調べると、世田谷区の人は、安定した 生活をし、お金のある、言葉に興味を持っている、これは正しいという自分の 意見を持っている人が多いからだと、わかったという。 井上さんは、「助詞」 のおばさんに、「世田谷区にお住まいですか」、と訊いた。

 これで19日分は、一応終りにする。 20日の第二夜にわかったのだが、井 上ひさしさんは、この19日の夜、なぜ五・七という数韻律かという問題を調 べて、徹夜したのだった。