師走の風が吹けば、鳩居堂が儲かるような話 ― 2005/12/14 08:26
師走になって、先日も銀座の鳩居堂の前で家内がハガキを選ぶのを待ってい たのだが、文春新書『伝書鳩』に鳩居堂にまつわる一つ話があった。 ヨーロ ッパでは鳩が平和や聖霊のシンボルなのに、日本では鳩は昔から戦さと関係が 深いものとされてきた。 『陸奥話記』『源平盛衰記』『太平記』などにも記述 があるが、鳩は軍神・八幡神(はちまんじん)の使いとみなされてきた。 八幡 神(応神天皇を主座とし、弓矢の神として尊崇されてきたと『広辞苑』にある、 正月の破魔矢はその関係か)は、清和源氏が氏神としてまつるようになり、武家 が政治上の実権を掌握するにつれて、全国の武士の信仰をあつめるようになっ た。
これには、次のような伝承があるというのだ。 治承4(1180)年、源頼朝が 石橋山の合戦に敗れて、大樹の洞に隠れた時、敵方の梶原景時と熊谷直実の計 らいで洞穴をホヤ(ヤドリ木の古名)でふさいでごまかした。 頼朝を探しに来 た平家軍は、その空洞から二羽の鳩が飛び立ったのを見て、人間がいるはずは ないと思って立ち去った。 以来、頼朝の危急を救った鳩は、八幡大菩薩の化 身として信仰されるようになった。
この話は後世の創作らしいというが、ともかく、この時の功によって熊谷直 実は頼朝から「鳩に寓生(ほや)」の紋を下賜され、以後は頼朝に仕えることに なったと言い伝えられている。 丹羽基二氏の『家紋百話下』(河出書房新社・ 1996)によれば、京都に本店があり、東京銀座にも店を出している「鳩居堂」 は苗字が熊谷で、家紋の「鳩に寓生」から屋号を「鳩居堂」にした、という。
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