キスいろいろ ― 2005/12/03 07:14
アオギスについての補足(『江戸の釣り』による)。 海にいるのが海キスで 体色は白い、これがシロギス。 海から川に上がってくるのが河キス (塩分濃 度の低い内湾の汽水域に分布、というからハゼと同じなのだろう) で、色は青 みを帯びているのでアオギスと呼ぶ。 シロギスは現在の東京湾にも数多く生 息していて(天ぷらでもお目にかかるが)、アオギスの方は昭和40年前後に東京 湾から姿を消しているという。 それまでの東京湾でのアオギスは、海中の浅 瀬に置いた脚立に腰掛けて釣る脚立釣りの対象魚として人気があったのだそう だ。
春キス、秋キスというのは、季節による区別。 『何羨録』には「春キスは 八十八夜過てより葭原(よしわら)雀鳴くを相(合)図に食立ち、六月土用に入りて 鳴き止むとキスも食止むと云ふ説あり」「又、郭公鳴き始めてよりキスも食ふと 云へり。罌子(けし)の花咲くを相図に春キス食ひ、けしの盛りにはキスも又盛 りなりと云ふ」 「秋キスは蕎麦の花散るを相図に食ふといへる説あり。又、秋の彼岸に入り て食初め雁渡りて食盛るといへり。或は菊の花咲き初めて食ひ、菊の盛りには キスもさかると云へり」とあるそうだ。 釣りの時期を、花や鳥との関係で説 明し、江戸の人々が豊かな自然とともに生活していたことを如実に物語る。 そ れは俳句に通じるものだ。
『何羨録』は、キスの冒頭で、漢字表記について解説し、当時は鱠残魚や王 餘魚、鱚(これは今も使う)と書かれ、キスゴと呼ぶ場合には幾須子や幾須吾の 文字をあて、紀州では大きなキスを道保と呼んでいたという。
『何羨録』は、キスの群れの大きさと行動の関係も考察している。 「キス ひとつ二つ行くを離れキスといひ、二十三十或は五十七十も群れてとほるを通 りキスと云ふ」 そして群れが小さいときのキスは慎重だが、群れが大きくな ると大胆に餌を食べるといっている。
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