実用「鳩通信」の終幕2005/12/13 09:03

黒岩比佐子著『伝書鳩 もうひとつのIT』(文春新書)は、鳩による通信、軍 用鳩、新聞社・通信社の鳩便についてくわしい。 私なども有楽町の新聞社の 屋上に鳩舎があって鳩が飛びまわっていたのは知っている。 福澤協会の土曜 セミナーで同席した昭和34年(1959)卒、応援指導部で活躍された小坂和明さ んは、早慶戦の試合開始時に朝日新聞社から借りてきた鳩を放したのだけれど、 その年(昭和33(1958)年秋のシーズンか)が最後だったのではないかと言われた (小坂さんは墨田区三田会会長、お話している内に昨日の愛鳩家及川さんはご近 所らしいとわかった)。

『伝書鳩』によれば、朝日新聞東京本社が最後まで飼育していた約210羽の 伝書鳩を、町の愛鳩家に引き取ってもらったのは昭和36(1961)年4月30日で、 翌5月1日に通信鳩部が廃止されたという。(大阪本社では1966年8月31日 まであった) 読売新聞東京本社の鳩舎が閉鎖されたのは昭和40(1965)年1月、 毎日新聞東京本社はその翌月パレスサイドビルへの移転を機に廃止に踏み切っ た。 こうして1960年代半ばで日本における伝書鳩による実用通信の幕が閉 じ、それから45年という歳月が流れたのである。 朝日は有楽町マリオンの 14階に朝倉響子作のブロンズ像で、毎日はパレスサイドビル9階外側に一色邦 彦作の鳩と鷲の像の、伝書鳩を記念するモニュメントが建っているという。