「福澤諭吉の人倫の思想」講演要旨 ― 2008/06/13 07:05
これも勉強になるだろうと、猪木武徳さんの講演要旨を、そのまま写してみ る(○に数字の機種依存文字だけ()に変えた)。
1)西洋倫理学と福澤の「徳義」論の近さ
(1)『学問のすゝめ』第13編「怨望の人間に害あるを論ず」とアリストテ レスの「中庸」
(2)アリストテレスの「国という共同体の幸福」、「対他的」という視点
(3)第11編「名分をもって偽君子を生ずるの論」の現実主義
内発的ではない(外から与えられた)倫理がいかに不確かなものか モラルは試験しても意味がない。 偽君子への皮肉(『概略』第6章「巧言令色、銭をむさぼるものは 論語を講ずる人の内に在り」)
2)日本の私徳偏重への批判-「公」の重視
(1)『文明論之概略』第6章「智徳の弁」における私徳、公徳、私智、公智 の分類
(2)徳より智、私徳より公徳、私智より公智、という順序付け
3)「公」に対する「私」の優先という社会哲学
(1)人倫の本体は夫婦なり(「中津留別の書」-具体的な男女平等論(「日 本男子論」))
(2)「瘠我慢の説」-立国は私なり、公に非ざるなり
(3)「丁丑公論」-「抵抗の精神」(「公」という理念を目指す「抵抗」)
(参考)友情と公権力-「ジュリアス・シーザー」のブルータス 聖者のごとき廉潔さと暗殺者の非道さの共存
4)結び-「公」と「私」の重層構造と緊張関係
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