私の『世界少年少女文学全集』の話2021/01/29 07:11

 つい、講談社版『世界名作全集』の話が長くなったが、それを夢中になって読んでいるのを見て、親が創元社の『世界少年少女文学全集』を取ってくれるようになった。 しかし、池澤夏樹さんが書いているように、大きな本な上、二段組で活字がぎっしり詰まっており、内容もちょっと取っ付きにくい感じがした。 第1回配本が、16巻のドイツ編3のケストナーの『飛ぶ教室』、ボンゼルスの『みつばちマーヤの冒険』、『ケストナー氏の二、三の意見』(『点子ちゃんとアントン』から)その他で、高橋健二訳。 『世界名作全集』の愛読者は、たちまちつまずいた。 1巻が『ギリシャ神話・アーサー物語・北欧神話・イソップ物語』田中秀央、呉茂一、松村武雄、新村出訳、3巻が『イングランド童話集・スコットランド童話集・アイルランド童話集・ロビンフッド物語』福原麟太郎訳。  4巻が、夏樹さんが書いている『ロビンソン・クルーソー・ガリヴァー旅行記』だった。 そんなわけで、せっかく買ってくれたのに、『世界少年少女文学全集』は、ほとんど積ん読ということになった。

 後年、1960(昭和35)年大学一年生の夏休みに、去年9月に書いた「高校卒業旅行、テント担いで紀州へ」の仲間だった故湊邦彦君に誘われて、パレットクラブのメンバーが、岩手県の当時「日本のチベット」何級僻地とか言われていた小学校分校を訪れるテント旅行に参加した。 石川啄木<かにかくに渋民村は恋しかりおもひでの山おもひでの川>の渋民小学校にテントを張って一泊した後、山奥のその名も虚空蔵という村の分校へ行き、子供たちと絵を描いたり、ゲームをしたり、カレーを食べたりして、交流した。 その折、エンピツやクレヨン、画用紙などの文房具とともに、私の積ん読の『世界少年少女文学全集』も持って行った。 みんなで手分けして提げて行ったのだが、とても重かった。 テント旅行の一式のほかに、平気で重い本も持って行ったのは、若かったから出来たのだろう。

 それが、私の『世界少年少女文学全集』の話である。