近くにも「タブノキのある風景」 ― 2008/11/07 07:04
梶木剛さんの話は、「椨(たぶのき)のある風景」と題されたように、タブノ キを探し歩くことになる。 タブノキの林は、『古代研究』の口絵の写真にあっ た能登半島のような各地の半島、タブノキの分布の北限に近い山形県酒田市の 飛島のような島、さらには神社やお寺の樹林、古い屋敷林、斜面下部などに残 されている。 つまり、海岸に近く、伐られて水田にされなかった場所に残っ ているわけだ。 近くでは、芝離宮、浜離宮、「緑」の江の島、鎌倉の鶴岡八幡 宮の裏山(ここは明治期の写真では松だった)に、タブノキが見られる。 そ れは(昨日の最後に書いたように)関東地方とくに東京湾沿いの地域本来の緑 がタブノキ林であったことを示している(宮脇昭『緑回復の処方箋』平成3年)。
梶木剛さんは講演資料の最後「椨点描」に、ご自身撮影の「タブノキのある 風景」の白黒写真を並べて、訪問した先々のことを熱っぽく語った。 千葉県 稲毛区、花見川区、宮城県気仙沼市唐桑半島の御崎(おざき)神社と民家裏山、 山形県遊佐町三崎と女鹿(めが)、鎌倉市鶴岡八幡宮、新潟県糸魚川市白山神社。 しかし、それは松浦寿輝さんの『となりのトトロ』の映画上映とくらべると印 象が弱く、現実の「タブノキのある風景」をうまく伝えられなかったように思 われた。 三田の山に植えられた池田弥三郎さんのタブノキの場所や28年後 の現状などについても、講演会を主催した文学部国文学研究室の協力と準備が あれば、もっとはっきりとしたものが示せたはずだったのにと思えて、残念だ った。
余談だが、ウィキペディアの「照葉樹林文化論」を参照したところ、宮崎駿 監督の『もののけ姫』は「照葉樹林文化論」を下敷きにしているとあった。
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