小満んの「お神酒徳利」前半2014/12/03 06:38

 小満ん、「お神酒徳利」には、三島で落ちになるのと、大坂まで行くのと二つ あり、長いのをやれと言われたので、長丁場をよろしく、と。 日本橋馬喰町 の刈豆屋吉左衛門という大きな旅籠、先祖が拝領した三つ葉葵紋の銀のお神酒 徳利を家宝にしていた。 大掃除で、ノドが渇いた二番番頭の善六、台所の水 瓶の蓋の上にお神酒徳利があるのを見つけた。 表を通る者に、ひょいと持っ て行かれかねない場所なので、水瓶(みずがめ)の底に沈めた。 善六は、そ そっかしくて、忘れっぽい。 掃除が終わって、徳利を飾ろうという時になっ たら、見当たらない。 旦那は真っ青になって、いつもの酒やご馳走はなし、 今夜はこれで終わりとなった。

 家に帰った善六、水瓶の底に沈めたのを思い出した。 おかみさんは、すぐ に行って、謝って出してあげなさい、というけれど、今さら自分がやったとは 言えない、と善六。 おかみさんは、お父っつあんが占い師だったから、その 巻物が出て来て、生涯に三度、易を立てて当てられる、ソロバン占いが出来る と言えばいい、と教える。

 旅籠に戻った善六、さっそくソロバン占いをやり、丑寅の方角で、台所、土 地と水に縁がある所で、水瓶ですな。 アッ、旦那、ありました。 大急ぎで、 祝いのし直しだ、仕出し屋に言え、柳橋から芸者を呼ぼう、善六、お前が上座 だ、となる。

 これが12月13日のことで、二階に一人だけお客さんが泊っていた、大坂の 鴻池の支配人。 二階でお手が鳴って、実は鴻池の18になる一人娘が三年越 しの長患い、いろいろな医者に診せても、加持祈祷をしても、効き目がない。 生涯に三度当てられると聞いたが、大坂まで一緒に行って、二度残る占いでぜ ひ原因を当ててもらいたい、頼む、この通りだ。 お手をお上げ下さい、家内 と相談をして参ります。 おかみさんは、眉間にコッキという死相が出ていた ら、神様の祟り、どんなお医者様でも手に負えない、とでも言えばいい、お礼 ぐらいは貰えるだろうと、送り出す。

 12月15日、善六さんは、鴻池の支配人と一緒に、江戸を立つ。

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