『日本経済を殲滅せよ』2010/08/11 06:53

 8月の今頃になると、どうしても戦争のことを考える。 6日の広島の日に は、あと十日余りで終戦だったのにと、思った。

 新潮社の『波』8月号で、読んでみたくなる、気になる本の書評にぶつかっ た。 エドワード・ミラー著、金子宣子訳『日本経済を殲滅せよ』、評者は手嶋 龍一さんである。 日本を太平洋戦争に踏み切らせたのは、従来言われていた 石油や鉄鋼の禁輸ではなくて、1941(昭和16)年7月のルーズベルト大統領 による「対敵通商法」の発動、日本の在米ドル資産の凍結、「金融総攻撃」であ ったというのだ。 ひ弱な経済力しか持たない日本が、日中戦争を続ければ、 早晩米びつが空になる。 アメリカの金融Gメンが横浜正金銀行ニューヨーク 支店に秘かに隠されていた総額一億ドルを優に超える資金を暴き出して、攻撃 を仕掛けた。 真珠湾攻撃は、金融攻撃に対抗した聖戦であって、本書には東 京裁判での木戸幸一元内大臣の「太平洋戦争は日本の仕掛けた侵略戦争ではあ りませんでした。自己防衛と自己保存の戦いであったのです」という証言が紹 介されている、という。

 この対日戦に学んだアメリカは、テロその他の問題が発生すると、資金ルー トを真っ先に封鎖する。 9・11同時多発テロ事件でもそうだったし、北朝鮮 やイランについても、そうだ。

 どういう方か知らないが、副島隆彦さんという人が『新たなる金融危機に向 かう世界』(徳間書店)という本を出し、その宣伝文句に「ユーロ暴落は、米国 債を買わせるためにアメリカが仕組んだ。そして金(ゴールド)も暴落させら れる!」「2010年末に向けて世界の金融経済はさらなる下落を繰り返す!」と ある。

 金融資産の安西前塾長のいわゆる一般的な評価損に遭いつつも、安閑とした 年金生活を送っている身にとって、「日本経済の殲滅」や「新たなる金融危機」 は恐怖である。 どなたか、何時頃まで安閑としていられるか、はたまた、そ れは焦眉の急なのか、教えてください。