筒井康隆さんの『現代語裏辞典』2010/08/12 06:56

 筒井康隆さんの『現代語裏辞典』(文藝春秋)が出版された。 帯に「驚異の
12,000項目」「日本語がひっくり返って笑い出す、一家に一冊の「読む辞典」」
「言葉遊び、ナンセンスギャグ、ブラックジョーク、豆知識……」「現代語をエ
スプリと毒たっぷりに定義しなおす前代未聞の書。作家の唯一無二の発想がい
かんなく記され、あらゆる常識を吹き飛ばす。もっとも笑いに満ち、もっとも
危険で、もっとも豊かな辞典」とある。

 巻末の筒井さんの「謝辞」に、こうある。 「本辞典では朝日ネットにおけ
る小生の会議室に集う諸兄姉から着想を募り、著作に貢献していただいた。筆
頭の藤本裕之氏などは約三百項目に及ぶアイディアの提供者である」「因に、提
供していただいたアイディアの総数は約二千二百項目である」 列挙された42
人の協力者の、第6番目に「馬場紘二(轟亭)」の名がある。 書店で売られ
ている本に、名前が出るようなことは、めったにあることではない。 まこと
に光栄なことであった。

 筒井康隆さんが『現代語裏辞典』の「か」の章を執筆中、いくつかの項目に
苦戦して、応援の書き込み=「お助け」を募集し始めたのは、2002年6月のこ
とであった。 ちょうど会社の清算も無事結了し、閑居生活に入ったところだ
ったので、暇にあかせて参加させてもらった。 最初にご採用いただいたのが
「カウチポテト」。 私の案は「河内生まれのイモ姐ちゃん。」、筒井さんの辞典
では「河内の人間に対する悪口。「河内のイモ」の意。」となっている。 以来
8年、ずいぶん楽しませていただいた。 『現代語裏辞典』は筒井康隆さんが
8年の歳月をかけた金字塔だが、私にとっても閑居8年の成果の一つである。 
以下は、私の案を使っていただいたものの、一部である。 シモネタや、ブラ
ックなものがあるのは、偏に筒井さんの作風に合わせたためである(笑)。

げすいどう【下水道】糞尿をあつめて早し下水道。
ゴーギャン【Gauguin】ゴッホ曰く。「傲岸な奴だった」
さんしろう【三四郎】「あなたはよっぽど度胸がない方ね」と言われて発奮、柔道で名を成した男。
しかくしめん【四角四面】きっかり30分計って食後の薬を飲むやつ。
せいかんたい【性感帯】市民ふれあい広場ではふれあいが禁止されている。
ソムリエ【sommelier】ワインを飲ませて飯を食っている人。
タイマー【timer】電気椅子にもある。「チン」と鳴って生きていれば釈放。
だつじ【脱字】チンコ屋。
だんねつざい【断熱材】「明日BEST」といわれたのに……。
ちゅうさんかいきゅう【中産階級】中程度にしかお産しない階級。少子化の原因。
ちゅうせん【抽選】発送をもって抽選に代えます。
ちょくりつふどう【直立不動】温泉の風呂場で、ばったり天皇陛下にお会いした時。
ついし【墜死】ペタジーニ。
てきせつ【適切】大統領夫婦間の性交。
ぬえ【鵺】「日本夜鳥の会」会長。
はいしゃく【拝借】運動会のゲームに「パンティ」という紙を混ぜておくと……。
はいしょく【敗色】甲子園から阪神ファンが帰りはじめること。
ばっぽんてき【抜本的】虫歯もそうでない歯も全部抜いて、総入歯にする治療。