永六輔さんが旅で集めた言葉 ― 2016/09/20 06:23
永六輔さんは、民俗学者の宮本常一さんに言われた言葉を実践したという。 「ラジオは電波だ。 電波はどこへでも飛んでいく。 だから、君もどこへで も飛んで行って、スタジオでなく、電波が届いた先がどうなっているかを、見 聞きしなさい。 話を聞きなさい。 そして、それを持って帰って、スタジオ で話しなさい。」 そういえば、先日触れた佐渡について、「佐渡島独立運動」 というのがあった。 運動で有名なのは、メートル法の縛りがきついのに抵抗 して、鯨尺や曲尺、尺貫法の復権を唱えていたこと。 「天皇に着物を!市民 連合」「天着連」というのもあった。
永六輔さんがそうした旅暮らしで集めた言葉は、『無名人名語録』『普通人名 語録』『一般人名語録』(講談社)などという本になり、ベストセラー『大往生』 (岩波新書)につながる。 『大往生』の言葉から、いくつか。
「老い」について。 「人間、今が一番若いんだよ。明日より今日の方が若 いんだから。いつだって、その人にとって今が一番若いんだよ」
(下町の、さんざん道楽をした果ての頭(かしら)がしみじみと言った)「歳 をとったら女房の悪口を言っちゃいけません。ひたすら感謝する。これは愛情 じゃありません。生きる知恵です」
「日本では福祉予算も、叙勲も、勲章も申請しなければくれません。つまり、 欲しがった奴が貰えるんです」
☆この話とは別だが、知っている下町の職人が叙勲の知らせを受けた。 「ハ イ、ありがとうっていっちゃなんだから、私ごときがもったいないって、一応 は遠慮したんですよ。“それでも”っていったら、“それじゃ”っていただくつ もりが、最初の遠慮で役人が帰っちゃったんです。……わたし、本当はいただ きたいんですが、なんとかなりませんかね」
「死」について。 「こうやって同窓会の度に物故者の黙祷をするのはいい けれど……何人までやるか、決めておこうよ、一人で黙祷なんかいやだよ」
「お釈迦さまは安らかに大往生ですよね。大勢の弟子や、動物にも囲まれて ……。釈迦涅槃図って、あの絵はおだやかでいい絵です。 あんな死に方、い いなと思います。 比べちゃいけませんけどね、キリストの死に方は痛そうで ねェ」
「長生きしようってグループがありましてね。会員は年間一万円ずつ払うん です。別に何もなくて、ただ払い続けるだけ。 で、最後まで生き残った人が 全額もらえるんだって!」
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