『ブラタモリ』で最近の「地学」に興味2018/04/17 07:20

 『ブラタモリ』で興味深いのは、都市や観光地の発展に、地形や地質との密 接な関係があることだ。 「地学」は高校の科目にはなく、大学の教養課程で 「地学」を取ったが、何を習ったか、まったく憶えていない。 津屋さんとい う東大の先生で、調べると津屋弘逵(ひろみち)さん、私が教わった1960年 は現役の東大教授、63年に定年退官して名誉教授になっている。 「地質学的・ 岩石学的研究から富士山が三つの火山体からなることを解明した」そうだ。

 当時はまだ、プレートテクトニクスは登場していなかった。 プレートテク トニクスを辞書で見ると、「1960年代後半以来発展」と書いてある。 後のい わゆる「プレート」によって地殻変動が引き起こされているという考えが、初 めて認められたのは、1964年のイギリスの王立学会の討論会だったそうだ。  竹内均さんが、ウェゲナーの「大陸移動説」(1912年)から説き起こし、プレ ートテクトニクスの解説を盛んに始めたのは、1963年に東大教授になってより 後のようだ。 「大陸が動くと言って飯を食い」と言っていたのが、印象に残 っている。  竹内均さんが、科学雑誌『ニュートン』を初代編集長になって 創刊したのは、東大を定年退職した1981年だった。

 プレートテクトニクスは、「地学」を一変したのだろう。 この大陸や大洋底 の位置の変動を、プレートの水平運動によって理解する理論(学説)によって、 大地形(大山脈・弧状列島・楯状地(たてじょうち…古い地質時代に地殻変動 をうけた大陸の核心部をなす地塊))、地震活動、火山噴火、造山運動などの諸 現象を統一的に解釈できるようになったからだ。

 『ブラタモリ』が近江友里恵アナに変った最初の回、2016年4月30日放送、 「#36京都・嵐山」「嵐山はなぜ美しい?」で、タモリが岩肌を触って「チャー ト」だと言った。 「チャート」という言葉を知らなかった。 「地学」では、 英語のchertのまま使っているらしい。 『広辞苑』をみると、「珪質堆積岩の 一種。きめこまかで非常に固い。獣角様の光沢があり、赤褐色または薄黒いも のが多い。層状チャートは、放散虫の遺骸や珪質海綿の骨針が深海底に堆積し 固結してできたもの。角岩。」とある。 この「チャート」、その後の『ブラタ モリ』で、何度か出て来た。

 まだ桑子真帆アナだった2016年1月16日放送、「#27熱海」「人気温泉熱海 を支えたものは?」で、京都府立大学の松田法子さん(生活文化・生活美学) という温泉に詳しい美人が初めて登場したのは、ホテルニューアカオのレスト ランだったが、その外の海に突出した岩山をタモリは、「水冷破砕溶岩」だと言 った。 昨年11月25日放送、「#91室蘭」「工業都市・室蘭を生んだ奇跡とは?」 でも、船に乗って地球岬という絶壁を太平洋から眺め、もろく崩れた岩肌をタ モリが「水冷破砕溶岩」だと言い当てた。 すると、同行していた北海道地質 学研究センターの山岸宏光さんが、「水冷破砕溶岩」の名付け親だということが、 判明したのであった。

 話は脱線して、というか反射炉や大砲製造の話に戻るが、この「#91室蘭」 で、室蘭の日本製鋼所は明治40(1907)年の創業当時、英国のアームストロ ング・ホイットワースやヴィッカースの技術と資本を導入して国産の兵器、ア ームストロング砲などをつくっており、戦艦長門や戦艦陸奥の主砲を製造した ことをやっていた。 ちなみにロシアのアジア進出を牽制する日英同盟は、明 治35(1902)年に締結されていた。

 最近の「地学」はどうなっているのか、私は「地学のやさしい本」で検索し て、世田谷区の図書館から、適当なものを何か借りて来ようと考えたのであっ た。