三遊亭わん丈の「星野屋」2023/12/23 07:18

 20日は第666回の落語研究会、日本橋劇場での二回目の会だった。

わん丈は、来年3月真打に昇進しますと言って、拍手を受ける。 わん丈のままで真打、師匠が天どんなので、わん丼とかにならなくてよかった、と。 最近の男女の出会いは、マッチングアプリが多いそうだ。 プロフィールをきちんと書くんだが、医者の登録数が非常に多いという。 今年その数は、日本の医者の登録数を超えたそうだ。 気を付けなければいけない。

 高校生の時、金髪にしたら、ご両親を呼ぶと、言われた。 母親が、自分も金髪に染めて学校にやってきて、驚く先生に、「遺伝です」と言った。 先生が「こいつは学校のゴミです」と言ったら、母親は「この子は、ウチのホコリです」。

 大家の旦那が、若い女を囲っている。 今日は昼間から来てくれたんですか。 おっ母さんは寄席へ行ってるのか、ざっくばらんな話がある。 お花、私と別れてもらいたい。 あなたと別れるくらいなら、私、死んじゃいます。 ここに二十両こしらえてきた、つまらないことに手を出して、星野屋の暖簾を下ろす、私は死ぬことにした。 何で、そうなったんですか。 わかりました、お供します。 大川に飛び込むんだ。 おっ母さんに、この金を渡して、内緒にな、私は夜来るから。

 死にたくなーーい! おっ母さん、いつから聞いていたの?  遺伝です、ずいぶん前から。 旦那だけ飛び込ませりゃあ、いい。

 大川、吾妻橋。 灯りは、お前の家の方だな、おっ母さんに一言、言っとけ。 何て? おっ母さん、草場の蔭で待ってます、先立つ不孝をお許し下さい、とでも…。 私は先に飛び込むよ、ドボーーン! 旦那ーーッ、大丈夫ですかーーッ。 浮かんでこないよ。 下に屋根舟だ、芸者揚げて遊んでいる、こっちは地獄で、あちらは極楽。 ♪さりとは狭いご料簡、死んで花実が咲くものか。 私は後から行きます、五十年後になるかも、さよなら!

 家に帰って眠れないから、ちびりちびりやってると、八つの鐘。  雨が盆を返したように降ってきた。 トントン! 重吉だ! お花を星野屋に世話した重吉が、びしょ濡れでやって来た。 一杯飲んで寝たら、胸のあたりが苦しくなった。 枕元に、全身ずぶ濡れで、ざんばら髪、額が割れて血の出ている旦那が座っている。 これこれで毎晩お花の所に化けて出るんだが、その前にお前の所に寄ってから化けて出るつもりだって言う。 俺は幽霊と、青汁と、自分のことは自分でと、サバサバしている女が大嫌いなんだ。 どうしたらいいかね。 何でもするか。 髪は女の命っていうから、黒髪を切れ。 旦那、浮かんでくれるんだろうね。

重吉、お前なかなか怪談話がうまいな(と、星野屋が現れる)。 旦那は新しい店を出して、お前に任せようと思ったが、お前の本心がわからない、それで、この芝居を考えたんだ。 あの屋根舟は、お前が飛び込んだら、引き上げるためだった。 旦那、これから本番で、飛び込みます。

頭を丸めたんだ、ドンツクドンツク、町内を歩いて回れ。 お前の眉(まみえ)の下に光っているのは、何? 見えないのなら、くり抜いて銀紙でも貼っておきな。 それはカモジだよ、ほんものの髪は、(と、ほっかぶりの手拭を取り)ほれ! だが、後ろに手が回るぞ、旦那が渡した二十両、あれは贋金だ。 母さん、たいへんだ、すぐ返しておくれ。 (金を返すと、)銀紙をくり抜いている場合じゃない、お前の眉の下に光っているのは、何だ? これは天下の御通用金だ。 くやしがるお花に、母親は「大方そんなことだろうと思ったから、三枚抜いて置いた」