野口冨士男さんのご子息平井一麥さん ― 2024/01/03 07:40
昨日書いた住友財閥令嬢誘拐事件に題材を取った野口冨士男さんの「少女」を読む前に……。 「等々力短信」第1161号 2022(令和4).11.25.「子の親を思ふ」に、野口冨士男さんのご子息平井一麥さんが、いかに父親のことを思って、努力活動されてきたかを書いた。 「子の親を思ふ」という題は、その年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にちょうど源実朝が出て来ていて、実朝の歌<ものいはぬ四方の獣(けだもの)すらだにもあはれなるかなや親の子を思ふ>をひっくり返したのだった。
2021年は、野口冨士男さん生誕110年、一麥さん傘寿の年だったが、一麥さんの父を思うお気持と努力が花開いた年でもあった。 野口冨士男さんの本が五冊も出て、「少女」は『風のない日々/少女』(中公文庫)に収録されている。 『八木義徳 野口冨士男 往復書簡集』(田畑書店)は、「野口冨士男日記」の翻刻、「野口冨士男書誌」の編纂をしていた一麥さんが、中心になって編纂した。
埼玉県越谷市の市立図書館に、「野口冨士男文庫」がある。 直子夫人の出身地で、終戦直後一家でここに移住し、海軍応召時の栄養失調症を癒した縁で、生前から取り決めを交わし、平成6年大量の資料が同図書館に寄贈されて開設、以降、毎年秋に講演会と特別展を開催し、小冊子『野口冨士男文庫』を発行している。 「野口冨士男文庫」の活動にも一麥さんが深く関わっていて、『野口冨士男文庫』24号に2021年11月13日の一麥さんの「父 野口冨士男を語る」講演が収録されている。
しかし、平井一麥さんは残念ながら2022年9月27日、その前年の奮闘に力尽きたかのように亡くなってしまった。
12月20日、第50回大佛次郎賞に平山周吉さんの『小津安二郎』(新潮社)が決まったと報じられた。 私はX(旧ツイッター)で、「平井一麥さんがいたら、大喜びしたでしょう。父、野口冨士男さんの越谷図書館の件で大変お世話になっていましたから。」とつぶやいたのだった。
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